2022年1月期浦和レッズ決算レビュー:営業赤字もかろうじて純利益確保

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浦和及び主要クラブ人件費推移

脱線した話をします。他クラブとの比較における浦和のチーム人件費の水準や全体的な動向が気になったので確認してみました。かつては浦和は押しも押されぬビッグクラブであった中、ミキティのおかげで抜き去る神戸という構図がありました。今後の力関係を推し量る上で参考になるかと主要クラブの前シーズン(2020シーズン)までのチーム人件費を下表の通りまとめました。
2020シーズン 主要クラブ人件費
(出所:Jリーグ経営開示資料より筆者作成)
興味深いものがあります。
表では2020シーズンの人件費を上位から順に9位までのチームの人件費をまとめました(数値はJリーグ開示数値による)。9位までとしたのは、ごちゃごちゃするのを避けたかった一方、9位までがダンゴ状態であることと、さらに言えば鹿島まで入れておきたいなという判断です。
そして、過去の推移も含めたグラフが下図です。
Jリーグ主要クラブ人件費推移
(出所:Jリーグ経営開示資料より筆者作成)
意外な点は、①団子状態となっているチーム数が意外に多いこと、②名古屋、FC東京、柏、ガンバの人件費が結構な額を費やしていたこと、③鹿島の落ち込みが目立つことです。
個人的には、鹿島の落ち込みがちょっとした驚きです。メルカリも決算では華々しいニュースは聞かないので、グループの中では神戸のようにいけない理由があるのでしょう。
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各クラブで進めて欲しい浦和の情報開示の方向性

今回の投稿はクラブの開示情報を元に作成しました。浦和レッズの経営情報の開示内容は他のクラブより充実しています。以前調べてきた限り、浦和のサイトにこれほどの開示がされていたのか記憶にないのですが、各クラブとも少なくともこの水準の経営情報開示を行うことが好ましいと考えています。
恐らくこの内容は、会社法により作成が義務付けられている事業報告が元になったものでしょう。事業報告をどこまで詳しく記載するかは会社によるところですが、三菱重工グループの記載要領に沿った書きぶりなのかなと推察します。
他のクラブの事例では、株主総会後などに粗々の決算数値がNewsなどでクラブHPに開示されることが一般的で、あっさりしたものです。財務諸表の勘定科目に分けて開示されれば良い方で、会社法の公告レベルのシンプルなものが多いです。知る限り例外は札幌ですが、資金調達を理由に金融商品取引法上情報開示が必要だった経緯によるものです。
クラブにとって、また非上場企業にとって経営情報の開示は原則として株主や資金調達先への開示に限定されます。経営情報を一般に開示することは、クラブ側から見れば「手間や負担がかかる」、「ライバルに情報を与えたくない」というデメリットがあるため回避しがちです。
しかしながら、クラブにとって経営情報の開示はメリットも多いことも考えて良いかと思います。サポーターや地元にクラブの方向性や努力に対する理解を得られます。相互理解をあらかじめ作っておくことで何かのアクションを起こす際に資金調達先以外のステークホルダーに経営施策の文脈が見えます。結果、単にステークホルダーとの繋がりが強まるだけではなく、今のご時世ではクラウドファンディングやトークンといった新しい試みも取り組みやすいでしょう。また、選手の大幅なリストラなどにもサポーター等から理解が示されるかもしれません。この程度の情報開示であれば、クラブへの負担もそれほどではないと思われるので、ぜひ取り組んで欲しいです。
欧州では上場しているクラブやACミランバルセロナなどではこんな感じの情報開示が行われています。ここまで開示が進むとネタも増えてサッカーをもっと楽しむことができると思います。

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