2021シーズン 全Jクラブ決算ランキング 〜2〜

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自己資本比率

自己資本比率は、高い方が望ましいですが、銀行を除いて絶対的に何%なければいけないというものはありません。業界ごとに大体これくらいかなという水準が何となくあり、それに比較して「多い」とか「少ない」とか論評されるのが一般的です。これまでの平均を見ると大体30%くらいのイメージです。かつてはカテゴリを落とすほどその数値は低下したのですが、近年の各クラブの経営改善や昇降格により、数値の差がなくなってきました。

Jクラブの自己資本比率を見るにあたって、数字に加えて考慮することが必要なのは、①いわゆる一部上場レベルの親会社の有無、②親会社の体力、③親会社のコミットメントであると考えています。
同比率上位のクラブの例を挙げると、町田はサイバーエージェント、徳島は大塚製薬、FC東京は東京ガス→ミクシィという親会社があることで磐石な財務体質となっています。下位においては柏(日立)、名古屋(トヨタ)、及びC大阪(ヤンマー)などは債務超過(マイナスの自己資本比率)であるものの、直ぐに解消できるでしょう。アパマンと福岡主力企業が控える福岡、そしてゼビオが親会社となる東京Vも多分大丈夫ではないかと思います。
一方で福岡の地元企業が株主の宮崎、岡田元日本代表監督がオーナーの今治、現社長が個人で1億円の増資に応じて筆頭株主となった愛媛、自治体が主要株主の松本などは頑張っているなと思います。一方で、自己資本比率が低く強い後ろ盾のない鳥栖、鳥取などはどう債務超過をするかに注目です(山口は9月に増資を完了し、債務超過を解消)。

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財務的な観点からの2023シーズンの課題

ポイントは2点あると思います。まず、債務超過のクラブはクラブライセンスの前提となる債務超過解消に取り組まなければなりません。

まず、債務超過のクラブについて確認しましょう。

債務超過クラブ

(出所:Jリーグ)

上表の債務超過クラブは債務超過を解消する必要があります。なお、山口については債務超過を解消したプレスリリースを確認しています。

現状、Jリーグはクラブライセンス付与にあたり、下図のようなルールを課しています。

2021年度以降の財務基準

これらクラブは①増資する、②利益を上げて利益剰余金を増やす、のどちらかをする必要があります。実際のところ、クラブは利益をあげる余地があるなら人件費を積み増す傾向があり、①の選択肢を取る必要があります。

来年度は債務超過額を増やさないことがポイントとなります。2021シーズン末の決算数値を見る限り、C大阪の債務超過額が最大で1,204百万円ですが、しっかりした親会社がいるので増資で解消できるでしょう。他のクラブについては、かつてクラブが大揺れした鳥栖も含め債務超過額は全て5億円以下ですので、最終的には解消できるのではないかと考えています。

もう一つのテーマは営業収益(売上高)です。クラブの売上はコロナ前の水準ころなに少しずつ近づいてきました。

(出所:Jリーグ)

コロナ前の2019シーズンのJクラブの平均営業収益は4,951百万円で、2021シーズンが4,159百万円で2019シーズンの8掛けといった水準です。ここに普段通りの入場料収入が追加されれば史上最高であった2019シーズンの水準への回復も見えてきます。

ここまでJクラブの営業収益が回復できた理由はコロナ前と変わらない好調なスポンサー収入があったためです(リンク先の増収率ランキングをご確認下さい)。これは、政府のコロナ関連のバラマキがあったり、大企業を中心とした経済面での影響にタイムラグがあったためです。

最近になり、多くの企業に収益面の影響が出る経済環境になったと見ています。例えば、コロナ禍のため交付された協力金、それから金融機関によるいわゆるゼロゼロ融資が行われなくなる、そして物価上昇などによるものです。

スポンサー収入は営業収益の肝であり、例えば2021シーズンであればJ1クラブの総収入のうち47%を占めました。来期はそうした逆風をどう乗り越えるかに注目しています。

今年は家庭と仕事の事情からなかなか記事を作る時間を確保できず申し訳なく思っています。来年は今年より投稿数は増やしますので、引き続きお付き合い頂けますようお願い申し上げます。

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