ESLの金銭的メリット
UEFAの収入とCLの賞金
CLの賞金分配
ESLの賞金
ESLは20チームで構成され、年間30億ユーロの賞金を想定していました。これは、2019/20のUEFAのCLの賞金総額(コロナによる減額前)より54%多く、しかも現行CLより12チーム少ない20チームに分配されます。ESL参加チームは最低150百万ユーロ(約195億円)、最大240百万ユーロ(312億円)の賞金を以下の方式により獲得できます。
ESLの賞金分配
ESLの大会フォーマット
Key Capital Partnersとは?
ところで、キー・パートナーズ・キャピタルという会社を聞いたことがなかったので、少し調べてみました。
リンクトインによると、キー・パートナーズ・キャピタルとは、マドリードにある金融会社で、Alex Matitia Cohenという人が2010年に立ち上げました。資金調達支援、M&A、デリバティブの販売などを行っているようです。
社員は30人くらいですが、各部門に欧米の大手金融機関出身+欧州MBA出身の人が配置され、それなりの会社っぽいです。
今回の騒動とは何だったのか
私としては、今回の騒動は3つのポイントを感じています。
第一に、ちょっと乱暴ですが、今回の騒動はヨーロッパのスポーツマーケットの奥の院に対する、アメリカ資本による一種の侵略に見えるということです。コロナ禍で痛んだ欧州サッカーのマーケットに対し、米国資本のJPモルガンとキー・キャピタル・パートナーズがバスケットボールのユーロリーグに倣ったフォーマットを引っ提げ、苦しむクラブたちに金と手を差し伸べました。苦しむビッグクラブらは蜘蛛の糸として掴もうとし、投資の価値向上を目指すアメリカ人オーナーたちも当然に呼応したという絵として見えます。今回は、UEFAやサポーター等様々な方面からの反発があり、元寇の如く追い払われることになりました。
2つ目はこれまでの方法による拡大路線の限界です。ビッグクラブたちは勝つために、そして置いていかれないために、高騰を続ける人件費を背伸びして払い続けてきましたが、コロナ禍によりとうとう持続出来ないその時がやってきたのかなという印象です。
大赤字のために背水の陣に追い込まれたビッグクラブたちにとって、ESL構想はコロナ禍で痛んだ財政状態の治癒だけでなく、限界を超えて、新たな成長サイクルに入るための起死回生の策でした。
欧州のサッカークラブは、変化する市場の中でどのような生き残りと成長を目指すのか、正念場に差し掛かっているのだと思います。
そして、3つ目は、クラブ以外の立場から見たESLです。
ESLにより、クラブの収入は上がる見込みです。しかし、それは何かに転嫁されます。放映権料が上がるということは、新たな媒体と契約したり、DAZNの料金が上がったり、DAZNのチャンネルが減ることになるでしょう。スタジアムの入場料も上がります。先述の通りアメリカ人オーナーが意識するNFLでは「家族で生観戦すると平均502.84ドル(約5万2,798円)かかる」という記事がありました。これでは気軽にスポーツ観戦に行くことはできません。
このあたりを踏まえ、毒まんじゅうだなあという印象を持ちました。
コメント