日本事業売却も。引き続き資金調達に奔走するDAZN

DAZNの財務危機に関する続報

DAZNの財務危機に関し具体的な進捗はないものの、状況に関する続報です。
私もDAZNを契約していますが、日本ではベルギーリーグの配信開始、そして、Jリーグと新たな放映権契約を締結したことにより、前向きな動きが見られることからDAZNの財務危機はいい方向に進捗しているのかと考えていました。特にJリーグとの新契約については、1年あたりの契約金額は減少するものの、さらに契約年数を延長するという形で、お互いにとってプラスの内容だったと思います。毎年の資金繰りにはプラスだと思いますが、「一年あたりこれくらいの甘い減少幅でなんとかなるものなのか」と思っていたところにこのニュースを目にしました。
出所はまたBloomberg(2020年8月20日 )です。
スポーツコンテンツのストリーミングサービスを運営する英DAZN(ダゾーン)グループは、国際展開に重点投資した後、新たな資金調達に向けた交渉を再開した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
資産家レン・ブラバトニク氏が出資するDAZNは、株式市場への上場や資産売却などを含む選択肢についてアドバイザーと協議している。情報は部外秘だとして同関係者は匿名を条件に語った。関係者の1人によると、最大10億ドル(約1060億円)の調達を目指しているという。
DAZNは新規株式公開(IPO)について初期段階の検討を行っている。特別目的買収会社(SPAC)とのディールを通じた公開について協議したほか、日本事業の一部売却も議論したと関係者1人は話した。
検討は初期段階にあり、どの方向に進むかDAZNは決めていないという。DAZNの担当者はコメントはないと述べた。

ポイント① 調達金額

5/23Financial Timesの記事によると、当時の調達を目指した額は5億ドルという話でした。これが2倍になったということは、より状況が厳しくなっているのか、それとも余裕を持った金額としてなのか。普通に考えれば恐らく前者だと思います。IPOを通じた調達額が増えるということは、株式の希薄化(利益を分け合う株主が増え、一株当たりの魅力が減る)が進むこと、そして売り切らなければならない株式数が増えるという観点から、新規発行株を売り捌くためのハードルが上がることになります。このため、緊急性を要し、かつ資金調達の難しい環境の中、難しい選択肢を採るのは合理的でありません。

ポイント②「一部売却」とは

もう一つのポイントは日本事業の「一部売却」という話です。
「一部売却」が何を指すかという点があります。考え方としては、DAZNの日本国内事業のうちの一部を売却するという考え方(一部事業譲渡)と、DAZNの日本法人の株式(日本法人を設立しているかは不明)の一部を売却するというのがあります。英文記事を確認すると「selling a stake in its Japanese business」と書いてあるので、後者と考えることができます(現実性から考えてもそうですよね)。個人的には、これが意味するのは日本事業に対する既存株主である電通等からの追加出資かなと推察しています。また、例えば、電通と一緒に他のテレビ局のお金が入って来る可能性もあるでしょう。この場合、ライバルとなるスカパーJSATの大株主は下表の通りですので、フジ、日テレ、TBS以外のテレビ局ではないでしょうか。また、ネット系の企業が参入することもあると思います。
スカパー JSATの大株主の状況(2020年5月31日現在)
名称 株数 保有割合(%)
伊藤忠・フジ・パートナーズ㈱ 76,568,800 25.78
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ㈱ 26,057,000 8.77
日本テレビ放送網㈱ 20,891,400 7.03
㈱東京放送ホールディングス 18,434,000 6.21
日本マスタートラスト信託銀行㈱(信託口) 13,645,400 4.59
日本トラスティ・サービス信託銀行㈱

(三井住友信託銀行再委託分・三井物産㈱退職給付信託口)

13,405,200 4.51
住友商事㈱ 11,129,200 3.75
日本トラスティ・サービス信託銀行㈱(信託口) 9,456,400 3.18
日本トラスティ・サービス信託銀行㈱(信託口9) 5,915,000 1.99
SSBTC CLIENT OMNIBUS ACCOUNT 4,874,671 1.64
200,377,071 67.47
(出所:有価証券報告書)
なお、原文となる英文記事によると、DAZNはSky(海外でのスカパー)などと異なり、契約が月次にてキャンセルできるサブスクリプションであるため、他のサービスに比べ、より突然のサービス停止のリスクに晒されている」とされています。確かにそうです。現在のサービスに満足していることもありますが、この意味も込めて私はDAZNのサブスクリプションを維持します。

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