債務超過解消がテーマだからこそ、Jクラブ持株会について考える

債務超過解消はここ数年のテーマ

前回投稿でも、コロナ禍などによりJリーグより4割のチームが債務超過と明らかになりました。このような状況の中、資本増強はここ数年の大きなテーマとなります。

原則としては、債務超過のチームは既存株主、スポンサー、または地元企業などからの増資により、債務超過の解消を目指していきます。その選択肢として「サポーターからの持株会はどうだろうか」というアイデアも出てくるところです。

各チームの持株会制度

実際に、いくつかのクラブについて持株会が運営されているので、事例を見てみましょう(抜け・漏れ・間違いあればご指摘下さいm(_ _)m)。

札幌の出資総額が3億1,160万円と飛び抜けて大きいです。しかし、実際の出資累計額は751,960千円あったものが減資された結果で、実際にはこれまで表の金額より多くの資金が投じられています。過去に財務的に苦しんだ痕跡でしょう。確認する限り、現状が分からないチームも含め、10チーム以上について持株会を運営されている模様です。表のクラブ以外に清水、神戸に持株会があったようですが、現状不明です。

全体として、クラブの増資に合わせて出資をする持株会が多いこともあり、現時点では募集を締め切ったクラブが多いです。また、現在も募集をしているのは、北九州、熊本、岐阜など、地域の盛り上がりがこれからというチームが多いです。しかしながら、かつては人気が出ずに苦しんだ水戸でも2019年に募集を締め切りましたので、これらのチームも一旦人気に火がつくと、募集上限に達し、締め切ってしまう可能性があります。

運営はクラブではなく、外部の有志に任せています。民法上の組合を採用していますが、運用面でのコストと税務上のメリット(法人税非課税)により、一般的に多くの持株会にて採用されている方式です。

出資者からみた持株会の評価

出資者から見たメリットは継続的な特典です。全体的に見回すと一度出資すれば、招待券等が貰える持株会が多いです。一般には一口50,000円で招待券が毎年1枚もらえるところが多いので、金銭的価値で言えば概ね20年持っておけば元が取れるといったところでしょう。その他、ファンショップの割引を付与するチームも多いので、利用者であるなら回収年数は短くなります。

デメリットとしては、第一に意思が直接議決に反映されないことです。仮に持株会員が議決に関し反対だとしても、持株会全体賛成という判断がなされた際は、反対という意思はクラブに行使できません。

もう一つのデメリットは、一般企業の持株会では市場で売ったりして可能な現金化が原則としてできないということです(但し、理事会の承認を得られれば譲渡ができます)。

メリット・デメリットありますが、総合的に見て、固定的に応援しているチームが募集しているのであれば、入っておいた方が良いのかなと思います。

クラブから見た持株会の評価

メリット

思い浮かぶメリットは以下の3点です。

資本増強

クラブにとって資本増強できるのが1番のメリットです。債務超過解消、資本増加の手段となります。また、一般論で言えば大企業からの出資と比べ、小口にバラけるので議決権行使の点で、大きな力になりにくいというメリットもあります(制御しやすい)。但し、持株会の議決権行使については、多くのチームにのように理事長に委任するものもあれば、今治のようにそもそも無議決権株式とする方法もあるので、制度設計にもよるでしょう。

コアサポーターとの繋がり

クラブは、一定額を投じてくれるほどの意識を持ったサポーターのリストを保有することができ、繋がりを持つことができます。コミュニケーションを繰り返すことにより、スタジアムに頻繁に足を運んでもらったり、新しい企画を告知するなどマーケティング上の接点を持つことにより、インフルエンサーとしての活動を期待することもできるでしょう。

速やかな増資を可能にする

普段からのクラブとの強い繋がりにより、持株会会員は経営危機等の際に速やかな増資に応じてくれる可能性が高いでしょう。

特に、初めての人に出資してもらうというのは、出資してもらう主体である自ら(クラブ)を理解してもらうこと、そして株式とは何かというのを理解してもらうことがとても大変です。しかしながら、出資経験者であればそのハードルは容易に越えられますし、一定の出資に応じる資力があるという実績もあります、このため、持株会会員は未来の出資者としても貴重な存在です。

デメリット

他にもあるかもしれませんが、デメリットとしては以下のポイントが挙げられます。

手間

管理の手間が掛かります。各クラブの職員は全体でもせいぜい数十人でしょう。そこに仮に持株会会員が数百人いた場合、その管理や株主総会の準備や実施などに人を割くことは困難です。相続が発生し、その際の対応も必要になるでしょう。このため、現状はクラブに近いクラブ外の人を中心に有志で組合を作っているようで、現実的な仕組みだと思いますが、何らかの理由で機能しなくなった場合、クラブに苦情が来ることも想定されます。また、その際、道義上、持株会名義の株式の個人への分配など新たな負担も発生する可能性もあります。

費用

組織運営には、維持費用が発生します。現状、多くのクラブでは、維持費を取らなかったり、会員の拠出した金額のうち5%〜10%を維持費用に充当しているようですが、これは継続的収入を有しません。収入構造として心配です。例えば、松本山雅の持株会の平成31年1月末の財産目録を見ると、220万円程度しか現預金がありません。例えば、1,000人会員がいた場合、封筒一つの会報を送るのだけで、84,000円掛かります。手持ちの現金が数百万円の組織であれば、小さくありません。また、本来であれば活動の際の交通費なども負担しなければならないでしょう。要は、多くが有志による手弁当にて運営されているのではないかと思います。それはそれで良いのですが、現状見られる持株会は、継続性の観点からは好ましくない構造だと思います。

論点として:持株会の影響力

なお、私はデメリットとして挙げるつもりはありませんが、持株会が力を持つことに警戒感を持つ向きもあります。

例えば、この論文では、持株会が力を持つことに警戒感を持っています。従業員持株会と比較し、敵対的な考え方を持つ可能性もあり得るという主旨の話などです。しかしながら、コンサドーレ札幌持株会の持株比率は8.9%で第4位の株主ですが、株主関連の揉め事は見受けられません、そして、株主が力を持てば良いのかというと、東京ヴェルディの混乱を見てもそうとは限らないことは明らかです。

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