Jリーグ・プロ野球へのスポーツベッティング導入報道:日本のメディアが報じていないこと

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スポーツベッティング法制化へ

2021年4月28日付フィナンシャルタイムズ記事はサッカーと野球を統合したベッティング(賭け)の市場を作ることの法制化を協議していると報じました。2024年には、NPB、及びすでにtotoが実施されているJリーグへの賭けが認められることが見込まれています。
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TOTOとスポーツベッティングの違い

totoとスポーツベッティングは大きくいうと2つの点で異なります。
第一にtotoは「クジ」と整理されています。スポーツくじです。totoは「スポーツ振興投票の実施等に関する法律」に基づく「予想くじ」であるため、ギャンブルではないと整理されています。くじの収益はスポーツの振興のために使われることになっています。ギャンブルと整理された場合、カジノ事業者が粗利の30%をカジノ納付金として国庫に納める計画であるため、収益の使途がtotoと異なります(totoはスポーツのみが使途、カジノ納付金は制限なし)。

もう一つの違いは、ペイアウト率( 払戻し率)です。totoは50%前後と低いです。スポーツベッティングの場合、約90%が払戻しに充てられています。私もtotoを幾度かやったことがありますが、さっぱり当たる気がしません。このため、スポーツベッティングの方が俄然やる気になります。

なお、totoの収益推移は以下の通りです。

totoの売上推移

totoも今のままではそろそろもう限界かなというところです。

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我が国におけるスポーツベッティングの可能性

政治的にはデリケートなテーマですが、詳しい筋の話として「コロナとプロスポーツに生じているダメージにより、こうした考えに対する違和感は低下している」とFTでは報じています。
オンラインギャンブルサイトを運営している人によれば、日本の野球とサッカーへの賭けに対するニーズは巨大であるとしています。すでに多くの日本人が海外で発行されたクレジットカードを使って、海外サイトを通じスポーツやオンラインカジノにおいて賭けを行っており、年間4.4兆円の売上が発生しているのではないか、という見方も記事では紹介されています。サイバーエージェントは、野球やJリーグ以外の人気スポーツがベッティングの対象として加わった場合、市場規模は7兆円になると見込んでいるそうです。

なぜか触れられていないこと

ここからがなぜか日本の報道で触れられていない部分なのですが、野球やサッカーの関連企業が、オンラインベッティングを提供することを検討している楽天、サイバーエージェント、ミクシィなどが、何年にもわたって政府に対し、オンラインベッティングの可能性を説き続けてきたとFTは報じています。
揃ってFTの引用をしていたにもかかわらず、中日新聞・東京中日スポーツ東スポの記事では、FT記事中の個別企業について全く言及していません。
コロナの影響によって、政府の姿勢は前向きに転じ、電通に対し市場調査を依頼した模様です。そして、当該調査が終わった2020年9月から、政府の議論が始まったそうです。
12月、以前楽天の三木谷氏が立ち上げた新経済連盟が、旅行業界に対する緊急支援策の一つとして、スポーツベッティングに対する禁止を解除を求めました。
新経済連盟とは、ミキティが「新しい経団連を作る!」と意気込んで作りましたが、そんなものどうなるかなと思っていました。ミキティなかなかやります。
サイバーエージェントはスポーツベッティングが全面解禁した暁には、スポーツ業界やアスリートを協議力に支援することにつながるだろうとみています。サイバーエージェントは、すでに競馬やオートレースの投票に対するオンラインプラットフォームを運用しています。
ミクシィは、スポーツベッティングへの規制緩和の可能性をみて、スポーツベッティングも含めたスポーツビジネスに関する様々な勉強会に参加しています
少しずつ点と点がつながって来ます。ここでは電通はあくまでも市場調査を受けただけの話ですが、電通はDAZNの10%を保有する大株主です。スポーツベッティングは原則としてオンラインストリーミングとともに提供されることが見込まれます。ここまで見越していたのであれば、皆が驚いたDAZNがJリーグに12年で2,000億円を払う契約を結んだ理由の一つが見えてきます。電通はDAZNを抑えることにより、「巨大」なスポーツベッティング業界のプラットフォームに入り込むことが見込めます。また、DAZNの経営危機が叫ばれていますが、FT記事のいうように、DAZNの日本事業の電通による譲受も大いに現実味を帯びてきます。
楽天やサイバーエージェントがスポーツベッティングのプラットフォームに参加した場合、八百長の可能性をどう排除するかは課題としてあるのでしょうが、楽天が神戸に多額の資金を投入し、サイバーエージェントが町田を買った背景もここに繋がっているのかもしれません。そして、この参入がスポーツベッティング参入に寄与する何かしらが実際にあるのであれば、ミクシィの参入もあるかもしれません。また、DMMのアビスパ福岡への出資についても、スポーツベッティング参入を念頭に置いていたとしてもおかしくありません。
「どうなるか見てみよう」です。

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