サガン鳥栖 サポーターミーティング所感

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パルプンテはなかった

これまでの報道から、想定しないびっくりすることが起きるのではと考えていましたが、杞憂でした。
サポーターミーティングに関して記事を書くことを当初は考えていなかったのですが、前回の記事だとスポーツ新聞の本当かどうかわからない記事からの批判のしっぱなしになってしまう気がして、妙な責任感から記事を書きました。
また、初めて竹原社長が話すのを聞いたのですが、きっと色々な方に可愛がられる方なのでしょう。そこから増資やスポンサー支援に応じる企業の方々の気持ち、また、トーレス氏と親交を築いたというのもわかるという気がします。
そういう中で、恐れ入りながら以下の通りサポーターミーティング(Youtubeで第1回だけ見ました)の内容と私の雑感をまとめさせていただきました。
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竹原社長による説明の骨子(第1回)

  • ご心配をお掛けしてお詫び申し上げる。
  • クラブ消滅、クラブライセンスの失効に伴う降格はない。
  • 2019年厳しい数字。反省している。
  • 2012年の昇格当時と事業環境は異なる。
  • 2011年のサガンの売上は3.8億、その年のJ1平均は29億円。2019年のJ1平均売上47.5億円、2020年のそれは60億円と言われている。
  • 選手人件費もJ1平均は30億円を超えようとしている。
  • 背伸びしすぎたことを反省。
  • 育成型クラブへのチャレンジは進んでいる。
  • 2012年より計画を立て、佐賀市に寮、健康運動センターに移り実力を伸ばしている。
  • プレミアリーグ、プリンスリーグへ参加。Jリーグ唯一の上位。
  • 真実と違う報道があり、皆様の言葉に耳を傾けるが、未来の選手やその親に不安を与えてはいけない。
  • 2020年は身の丈にあった経営を計画していた。
  • コロナウイルスがなければ黒字になる体制を整えていた。
  • 新しいスポンサーとも縁に恵まれた。良いタイミングで発表させてもらう。
  • 試合がなくて苦しい状況ではあるが、しっかり対応している。皆様と乗り越えたい。
  • スポンサーの収入に関しての指摘はが多い。メディア報道でも誤解があり触れたい。
  • スポンサー撤退については、色々な理由と反省がある。申し訳ない。
  • J1リーグは競争が激しく、選手人件費や運営費など高いレベルが要求される。
  • リスクを負わないと戦えないリーグであると成績上いえる。
  • 育成に理解を示してくれるスポンサーと選手を育てていきたい。
  • スポンサーと育てていくモデルを目指す。優勝できないからスポンサーが撤退したと言うことはない。選手やスタッフの努力不足ということはない。
  • チケット収入はグッズ収入は増えている、サポーターのおかげ。
  • クラウドファンディングみなさまからの支援の申し出は慎重に考えたい。
  • チケットやグッズ販売以外の支援をお願いする可能性がある。
  • しかし、当面のクラブ運営や資金にはまずクラブが向かい合う課題。
  • 改めてみなさまと走り続けることを約束する。
  • バスケットボールチームへのサガン鳥栖からの資金流用は全くない。
  • 逆にバスケットボールチームから7億円の資金支援を受けている。
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質疑

◆資金繰りは大丈夫なのか
→当面のキャッシュは民間調達で賄える。
→ドリームパスポートによる3億円をどう運用していくかというところは検討。
→人件費は24-25億円を計画。
◆無観客試合でも資金はまわるか
→スポンサーや借入で数ヶ月は大丈夫。
◆トーレスの繋がりの活用しては
→ユースの交流などで検討している。
◆インスタライブをもっと実施したらいいのでは
→選手も考えている。
◆BS、PL、CF開示。株主構成を開示しては
→検討する。Jリーグと相談。すべての企業が貸借対照表が良い資産構成になっていないのは事実。これを変えるとなるとJリーグを変えることになってしまう。皆さんと話をしていきたい。
◆サラリーキャップを設けて人件費を管理した方が良いのでは。それで負けてもサポーターは離れない。
→人件費を落とした。バランスとタイミングとカテゴリを考えて検討する。J1にいることは大事。「J1、J2、J3でもいい。存続すれば良い」と今は言えない。心配されないようにはしたい。ステークホルダーがいる中での検討事項。

「チーム消滅やJ3以下降格」のニュース

まず、サポーターミーティングに関する記事において、ニッカンスポーツが繰り返しサガン鳥栖の「チーム消滅やJ3以下降格」の可能性を報じていますが、竹原社長のおっしゃる通り、断じてないはずです。
まず、消滅は何を持って消滅かということですが、20億円の増資もあり、借入もできる。これによって、会社及びチームは存続できます。消滅」の定義とその根拠をニッカンスポーツは明らかにするべきです。
そして、J1ライセンスを満たさないのは、「債務超過」かつ「3期連続赤字です」(こちらにもう少し詳しく書いています)。今回のサガン鳥栖はまだ赤字の連続は2期であり、債務超過ではありません。J3以下降格の根拠もお金を取るメディアとして示さなければいけません。
そうでなければ、いわゆる風説の流布ではないでしょうか。

財務諸表の開示→札幌はバッチリ開示

質疑において、竹原社長は財務諸表の開示を躊躇していましたが、挙げている理由は、事実と異なり違和感があります。
第一にJリーグの企業の「資産構成(ママ)」はよくないと言いますが、スポーツの球団というのはそもそも収益性が高くない業態であり、それを開示しない理由とすることは筋が通っていません。また、財務諸表の開示は一つの一般企業としての行動であり、Jリーグがそれを制することは考えられません。その証拠に札幌は開示しています。元々は過去に増資を行った際に、金融商品取引法上の義務が発生したためですが、札幌は金融商品取引法上の義務が終わった後も、報告形式を変えて詳細な財務諸表を開示しているのです。
竹原社長は、資金調達の現場における透明性の重要性を認識していないと思われます(理由を細かく書くと長くなるので割愛します)。だからこれまで「お金がない→増資」を繰り返したのでしょう。

説明されるべきこと

サポーターの方々はチーム状況が心配でこのミーティングに集まってきたわけです。ついては、この原因と改善策や防止策が提示されるべきです。そもそも、チームは「お金がない→増資」を今回だけでなく繰り返して来ました。改めて記載すると、以下のように繰り返して来ています。
  • 2012年6月 1億7500万円
  • 2014年8月 1億5000万円
  • 2015年1月 2億2000万円
  • 2019年1月 6億円
これは多すぎです。真っ当な理由があってこのような状況になる会社があるとすれば、売上が毎年倍になるような会社です。
これらの増資がなかったら本当にニッカンスポーツのおかしな報道の通りのことが起きてしまうわけでして、これらは綱渡りの歴史とも言えるでしょう。これだけ経緯がある中で、原因と改善策や防止策が出てこないのであれば、厳しくいうとこのミーティングがガス抜きであるということになってしまいます。スポンサーを失った営業に問題があったのか、社内のチェック体制に問題があったのか、どうしてそれが起きたのか、説明すべきだと考えます。
そしてそれが起きないようにするための改善策と防止策も語られるべきですが、きちんと運営のルールとしかるべき人のチェックが入るのが良いと思います。具体的には、財務規律の導入や銀行から財務担当役員として人材を受け入れるのが良いのではないでしょうか。
もちろん公に話せないことはあると思います。特にスポンサー関係はそうだと思いますが、少なくとも改善策くらいは話せるはずです。
そして、育成型チームを目指すことは大賛成ですが、何をどういう風にチームを変えていくのか、計画を開示するべきだと思います。チームをサポートしたい人が集まっているので、サポーターの方々に将来どういうチームが待っているのか示すべきだと思います。サポーターというステークホルダーに対する企業として当たり前の行為だと私は思いますが、それによりこれまで以上にサポーターは支援してくれるのではないでしょうか。
また、私は、基本的にプロスポーツチームは公器であると思いますし、鳥栖市からスタジアムに関し一定の便宜を受けていることもあること、そして「皆さんの指導を仰ぎたい」、一緒に考えていきたい」というのであれば、もっと開示の姿勢があっていいと考えます。
更に、この窮地を救った20億円についても知りたいところです。しかし、これは例の「良いタイミング」に発表されるスポンサーかもしれないので、その時でしょうか。楽しみにしています。

提案:サポーター向け増資

今後、コロナが長引く、再び経営危機が訪れる、もしくはさらなる成長のために資金が必要なタイミングがあるはずですが、その際はサポーター向けの増資が行われていいのではと思います。理由は、財務情報がサポーターに向け開示されること、そして社長に対する監視・牽制が少なくとも今より機能するからです。サポーター向けの増資により、株主総会時には決算書が開示されます。
また、先ほど自分の申し上げたことを否定することにもなるのですが、改善策として挙げた「ルール」や「チェック」の仕組みというのはいわゆる内部統制を指して書きました。しかし、内部統制という仕組みの限界として、社内のチェックの体制というものは、経営者は破壊することができます(ピラミッドのトップに対し、権限のない下の人間がチェックすることはできない)。実際、監査法人が監査しているようなのでこれまでも一定の内部統制は整備されたのだと思いますが、社長が破壊して来てしまったのではないでしょうか。
すると、最後に経営者に対し監視や意思表示できるのは株主ですので、サポーター向けに株主を募るというプロセスがあって良いと思います。ちょっと調べた感じだとソシオと同じように機能するのではないでしょうか(違ったらごめんなさい)。
一般に、こうした増資の時に最も大事なのはそれに応じる人がいるかですが、今日のサポーターミーティングを見る限り、情熱を持ってサガン鳥栖を支えたい人は大勢いると思うので、その心配はなさそうですね。
基本的にブログで突っ込んだ意見を書くつもりはなかったのですが、どうももったいなくて書いてしまいました。

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