J1リーグ、勝点1にいくら払えばいいのか

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デロイトトーマツ Jリーグマネジメントカップ

デロイトトーマツというコンサルティング会社が、Jリーグマネジメントカップというレポートを作成しています。
そのレポートは、Jリーグの各クラブの財務情報を中心に①マーケティング、②経営効率、③経営戦略、④財務状況から、各チームにポイントを付与し、総合的な評価をしています。
これらの評価については、各項目について、財務的な数値をこねくり回して数値化し、比較できるようにしてポイントを付与しています。
今回、この数値化の考え方(計算)の一つをパクら拝借させていただき、少し眺めてみようかと思います。

勝点1あたりの人件費

勝点1あたりの人件費は、チームごとに「チーム人件費/勝点」で算出します。つまり、チームごとに数値が異なります。
デロイトのレポートでは、「経営効率」というカテゴリに入り、「いかに効率的に「勝点」を獲得したか」という記載なのですが、「勝点1取るのにいくらかかったのか」という方がしっくりくるのでそう定義します(単に言い方の違いですが)。

J1リーグ勝点1あたりの平均チーム人件費の推移

まず、リーグ全体を見ていきましょう。上表はJリーグ勝点1あたりのチーム人件費のJ1リーグ平均の推移です。
勝点1あたりの価格は営業収益と概ね並行して増加傾向にあります。例えばグラフの最初の時点とした2011年の2,880万円と比べると、2018年は4,880万円と63.2%増加しています。特に2017年シーズンは前期比21.9%増加、2018年シーズンでは14.7%増加しました。
つまり、現在開示されている最新のデータでは、勝点1には平均4,880万円、つまり約5,000万円必要だということです。
ここから計算すると、J1残留ラインは概ね勝点40程度と考えられますが、残留ラインを満たす場合、理論上概ね20億円のチーム人件費、そして営業収益はチーム人件費の2倍として40億円規模の営業収益を計算上目指す必要があります。
特に下位チームはこうした金額を捻出するのに、他チームをみながら幾ら投入するのか毎年頭を捻らせているでしょう。
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2018年シーズン勝点1あたりのチーム人件費

しかし、チーム毎で見ると先ほどの数字はあくまで目安であって、個別チームの数字を見るとその水準が異なります。
この数値が優れていた場合、監督の功績なのか、それを選んだマネジメントの功績なのかという点を私お考えてみたのですが、そうした成績を残した監督が偉く、その監督を選んだチームも偉いでしょう(逆もまた然り)。まあ、両方の功績であり、また個別事情もあるのだろうという玉虫色の理解です。
それでは、シーズンごとの勝点1あたりのチーム人件費を見てみましょう。

2018年シーズン勝点1あたりのチーム人件費(ランキング形式)

チーム
人件費/勝点
監督
1
長崎
27.1
高木
2
札幌
27.3
ペトロヴィッチ
3
仙台
27.4
渡邉
4
広島
32.7
城福
5
湘南
33.8
チョウ
6
清水
37.0
ヨンソン
7
川崎F
37.9
鬼木
8
磐田
42.0
名波
9
FC東京
42.7
長谷川
10
G大阪
45.7
クルピ→宮本
11
C大阪
46.7
ユン
12
横浜FM
56.1
ポステコグルー
13
鹿島
56.4
大岩
14
浦和
60.9
堀→大槻→オリヴェイラ
15
鳥栖
65.1
フィッカデンティ→金
16
名古屋
68.9
風間
17
71.9
下平→加藤→岩瀬
18
神戸
99.5
吉田→リージョ
降格:長崎、柏
2018年シーズン、最も勝点1を安く稼いだのは、長崎でした。降格してしまったのは残念ですが、試合ごとのパフォーマンスは高いものがありましたので、確かにあり得るのかなという気がします。高木監督は横浜FC監督時もそうでしたが、現在監督を務める大宮も昇格させ、更に実績を積み重ねてもらいたいものです。
そして、監督としての実績豊かな仙台ペトロビッチ監督と広島城福監督の間に仙台渡邉監督が堂々と滑り込んでいます。
鳥栖の金監督は個人的に気にしています。2020年シーズンは代打ではなく、アタマからの登板です。これまでシーズン途中の就任ばかりですが、その都度見事残留というミッションをコンプリートしています。フルシーズンでの手腕に今期は注目しています。
監督交代が多いチームは下に偏っています。監督交代が起きるチームはチームの勝点が稼げていないチームなので、やむないところでしょう。
神戸最下位なのは高額な選手を集めていることが多いですが、神戸はもっと大きな絵の中で動いているので、この数値が最下位だからというのはあまり気にしなくて良いでしょう。
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2017年シーズン勝点1あたりのチーム人件費

2017年シーズン勝点1あたりのチーム人件費(ランキング形式)

チーム
人件費/勝点
監督
1
磐田
26.8
名波
2
甲府
27.6
吉田
3
札幌
28.0
四方田
4
仙台
28.4
渡邉
5
川崎F
32.5
鬼木
6
鹿島
33.1
石井→大岩
7
横浜FM
35.9
モンバエルツ
8
C大阪
37.0
ユン
9
37.2
下平
10
鳥栖
40.4
フィッカデンティ
11
新潟
43.8
三浦→片淵→呂比須
12
広島
48.5
森保→横内→ヨンソン
13
清水
49.4
小林
14
FC東京
50.3
篠田→安間
15
G大阪
51.4
長谷川
16
浦和
54.0
ペトロヴィッチ→堀
17
神戸
70.5
ネルシーニョ→吉田
18
大宮
71.7
渋谷→伊藤→石井
降格:甲府、新潟、大宮
この年の1位は磐田でした。この頃の名波監督は輝いていました。
2位の甲府ですが、本数値に関しては非常に優れていましたが、残念ながら降格となりました。しかし、降格しつつもJ2で継続して翌期も指揮を取ったことは納得できます(途中で解任)。
3位札幌の四方田監督は翌シーズンはペトロビッチ監督に交代となりました。この交代時には微妙な空気を感じましたが、この実績を見るとこれも納得がいきます。しかし、その後のペトロビッチ監督を見るとこの交代も納得させられます。
4位仙台と5位川崎は安定のランクインです。
その他の下位は苦しんで勝点が稼げなかった結果、数字が高めに出てしまった印象があります。

2016年シーズン勝点1あたりのチーム人件費

2016年シーズン勝点1あたりのチーム人件費(ランキング形式)

チーム
チーム人件費/勝点
監督
1
川崎F
22.8
風間
2
甲府
23.7
佐久間
3
大宮
25.2
渋谷
4
仙台
27.6
渡邉
5
広島
28.2
森保
6
湘南
29.6
チョウ
7
鳥栖
32.1
フィッカデンティ
8
浦和
32.2
ペトロヴィッチ
9
32.5
メンデス→下平
10
鹿島
32.7
石井
11
G大阪
32.8
長谷川
12
神戸
37.6
ネルシーニョ
13
磐田
38.3
名波
14
横浜FM
38.5
モンバエルツ
15
FC東京
38.9
城福→篠田
16
新潟
40.7
吉田
17
福岡
49.3
井原
18
名古屋
66.1
小倉→ジュロヴスキー
降格:湘南、福岡、名古屋
2016年シーズンについては、注目は3点。1位川崎は風間監督での優勝を成し遂げることはできませんでしたが、ここではトップです。そして2位甲府の佐久間監督です。佐久間監督は前年も監督をされ(途中就任)、2015年シーズンも19.9百万円でした。色々な評価があるようですが、本数値上は大変良い数字を残されています。
そして、最後は最下位のところです。あえてそれ以上コメントしませんが、当時の混乱ぶりが数字に現れています。

2016〜2018シーズン平均で見れば

2016年〜2018シーズン勝点1あたりの平均チーム人件費(ランキング形式)

3シーズン継続してJ1に残ったチームにてランキングを作りました。
チーム
人件費/勝点
1
仙台
27.8
2
川崎F
31.1
3
磐田
35.7
4
広島
36.5
5
鹿島
40.7
6
大宮
41.3
7
G大阪
43.3
8
横浜FM
43.5
9
FC東京
44.0
10
鳥栖
45.9
11
47.2
12
浦和
49.0
13
神戸
69.2
栄えあるトップは仙台です。渡邉監督は長年仙台で監督を務められ、2019年シーズンで一旦退任になりました。予算の少ないチームでの手腕ということで言えば、例えばペトロヴィッチ監督、城福監督、J2以下では小林監督や石崎監督などが挙がったりしますが、もっと渡邉監督が注目されても良いのではと思っています。
負けた試合のインタビューもいつも爽やかでいつも「頑張れ」と思ってしまいます。
恐らくまたどこかで指揮を執られると思うのですがその日を楽しみにしています。

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