J2リーグ、勝点1にいくら払えばいいのか→各チームの現在地

J2リーグも試算

前回投稿「J1リーグ、勝点1にいくら払えばいいのか」の余勢を駆って、J2リーグについてもまとめてみました。当初はJ1リーグと同様に試算をし、眺めてみようと思ったのですが、リーグの性格も異なり(レギュレーションや目標設定)、チームの多様性があまりに大きいことから、前回の流れで見てもなんだかピンと来ません。何しろ、現時点で最新データである2018年シーズンで、最もチーム人件費が大きい大宮は最もその数値が小さい水戸の7倍です。一方、J1ではリーグ最大のチーム人件費を誇る神戸と最小の長崎の差ですら5倍です(仮に、最小を長崎の次に予算が小さい仙台をとした場合のそれは4倍を切っています)。
このため、勝点1の価格を試算するも、切り口を変えて考えてみることにしました。

勝点1の計算方法

前回投稿における説明でのおさらいとなりますが、勝点1あたりの人件費は、チームごとに「チーム人件費/勝点」で算出します。この数値を「勝点1取るのにいくらかかったのか」を表す数値とみなし、検討していきます。なお、チーム人件費はJリーグより開示された損益計算書から取った数値です。

J2リーグ勝点1の平均価格推移

上図はJ2リーグの営業収益、及びJ2リーグ平均のチーム人件費/勝点の推移です。参考のためにJ1リーグの数値も表しています。
まず、J1リーグとの比較上留意頂きたいことは、J2リーグはJ1リーグより試合が多いことから、その分だけチーム人件費/勝点の数値が低くなってしまうということです。このため、仮にJ2リーグのチーム人件費/勝点をJ1リーグのそれと比較したい場合、J2リーグのチーム人件費/勝点を42/34倍=1.24倍の水準で見るのが良いでしょう。
2018年シーズンのJ1リーグのチーム人件費/勝ち点は4,880円で、J2リーグのそれは1,180万円で4.1倍、先ほどの試合数による補正で見れば3.4倍でした。
水準以上に注目すべきだと思うのが、J1とJ2の増加率の違いです。J1の営業収益及びチーム人件費/勝ち点のほうが増加率が大きくJ2のそれを引き離しています。Jリーグの脱護送船団に基づいた、配分金の傾斜配分の影響が現れているものと見られます。

年度別チーム別分析

年度別チーム別 図の読み取り方

J1リーグ内での比較と同様にJ2リーグのチーム別数値の比較を行おうと思ったのですが、最終的にそのようにしませんでした。あまりにもチームの状況の違いが大きく、単純に数字を並べるだけだと読み取れるものが多くないと判断したからです。J1リーグのまとめにおいては、監督という要素の切り口でのコメントが多くなりましたが、今回は単純な数値と3年間の流れで述べています。実際、繰り返しになりますが、あまりにも予算に大きな差があり、監督の手腕もあるものの、それ以上に「球団」や「会社」といった要素が影響しているように見えるからです。
結果、今回は営業収益と勝点1の価格の関係(チーム人件費/勝点)として散布図によりこれをまとめました。この図の中で、チーム人件費の水準別に3つのグループに分けて相対的に眺めてみると楽しめます。

年度別チーム別分析図

まず、いったん何に対するウンチクを垂れるのかということで、その対象となる年度別チーム別の営業収益とチーム人件費/勝点(勝点1の価格)の散布図を示します。恐れ入りますが、後述の説明に合わせて行ったり来たりすることになると思います(すみません)。

2016年シーズン チーム別営業収益とチーム人件費/勝点

2017年シーズン チーム別営業収益とチーム人件費/勝点

2018年シーズン チーム別営業収益とチーム人件費/勝点

年度別チーム別分析図 各グループの説明と動向

第一グループ:残留目標グループ

第一グループは、チーム人件費5億円未満の残留目標グループです。現実的な目標がJ2での残留です。昔からJ2でプレーするチームは別として、J3から昇格したチームはここからスタートします。このグループを出発点とし、第二グループへ進むことを目指します。

このグループのチームが第二グループに進む際には、そのまま右にスライドするのではなく、予算規模が大きくなるに従い、(結果的に)右上方向へと進んでいきます。

第一グループの動向

第一グループが最も含まれるチーム数が多く、競争が激しいです。本グループの第一の特徴は、このカテゴリで上部にいるチーム(人件費/勝点が高いチーム)は降格し、J3に飲み込まれる傾向があることです。原則としてここで計算した数値は結果論の数値ではあるのですが、例えば、2017年にはやはり同カテゴリで上部の群れに(降格せず)位置していた熊本や讃岐は2018年に降格しました。そして、2018年に勝点1あたりの価格が高い水準にあった岐阜も2019年シーズンに降格しました。
第一グループに示す降格の可能性の示唆については、実際のところ順位表を見るだけでも同じことを読み取れますが、本カテゴリにおいてポジティブな面も示します。本グループ下部のところです。
町田が3期連続で最もリーズナブルに勝点を獲得しています。この数値が最も良かったのは予算規模が最小だったために勝点1獲得ごとの数値上のインパクトが大きいこともあるものの、きちんと残留を続けているのが大したものです。今後、サイバーエージェントの資本が入ったことにより、第二グループに移動し、J1を伺う局面も出てくるでしょう。
それから、2016年から2018年の山口の推移にも注目です。J2まで駆け足で昇格してきた山口ですが、3年間で徐々に財政規模を整えつつ、勝点を稼いでいることがわかります。2019年の状況の開示はこれからですが、今後第二グループのカテゴリに入って来そうな勢いです。
そして、3年間通じて効率的に勝点を稼いでいる水戸も、最近の高パフォーマンスの中でどのような推移になるのか注目したいところです。

第二グループ:昇格チャンスあり

第二のグループがうまくやれば昇格チャンスありのグループです。人件費を5億円から10億円確保できるチームです。チームが噛み合うと昇格できるチャンスがあります。しかし、昇格後はかなり頑張らないと、すぐにJ2へ逆戻りしてしまいます。

第二グループの動向

第二グループでは、勝点1あたり10百万円を割るパフォーマンスを見せるようなチームには昇格のチャンスも見えてきます。2016年の札幌、2017年の湘南などはそうです。また、昇格した2017年の長崎、2018年の大分はほぼ第二グループに手がかかっていたところであり、この2チームも同様に位置づけられます(両チームとも営業収益がほぼ5億円でしたので、第二グループに入れてしまいます)。
3年間の推移でいい流れを見せているのが横浜FCと東京Vです。横浜FCはすでに2019年シーズンに昇格を成し遂げましたが、このグラフの推移からその可能性は示しています。次は東京Vがその座にありつくかもしれませんまた、ゆっくりですが、J1経験のある山形も少しずつ力をつけています。
このグループにおいても、勝点1の価格が高い群れにいるチームは、悩ましい位置にいます。昇格もせず、降格もせずという、J2のぬるま湯に位置するからです。J2リーグは、昇格するという面では22チームから勝ち抜くという面で厳しいリーグです。しかし、残留するという面で言うと、J2リーグは22チームある中で降格は2つであり、18チームしかない中で2チーム+1が降格するJ1と比べると残留しやすいリーグとも言え、このエリアはその恩恵にあずかれるゾーンです。
個別チームで言うと、京都と福岡は人件費予算が減少傾向で、毎年左方向に移動しています。勝点の値段も低下させることができず、J1より降格してからいい感じの標準J2仕様のチームになりつつあります。

第三グループ:J2ビッグクラブ+黒船グループ

第三グループは、J2ビッグクラブ+黒船グループです。J2ビッグクラブとはチーム人件費10億円以上費やせるチームを定義しました。昇格できればなんとかJ1でもそれなりの戦いを見せることができます。そして、黒船とは、J1から間違って落ちてきてしまったチームです。J2ではジャイアンのような戦いぶりを見せ、J2ではメガクラブとなります。一時期のガンバやFC東京がそうです。

第三グループの動向

この3年でいうと、名古屋やセレッソ大阪、そして清水などが黒船に該当します。この船に特段勝点の高い安いは関係ありません。降格救済金もありますしJ1仕様のチームで横綱相撲で勝点をもぎとりにきます。結果、黒船はやってきてはすぐ消えてしまいます。
大宮は黒船になると思いましたが、いつの間にか居ついてしまいそうです(元々J2経験が長いですが)。新潟、松本などもJ2の味を思い出してきた感じです。
また、あえて触れますが、この表を見る限り千葉は実質J2の主と言えます。J2の門番は水戸という声もありますが、今や十分なJ2経験を積んだ千葉は立派なJ2の主です。
今後もこの切り口で定点観測を更新していければと思っています。

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