水戸ホーリーホック決算発表
4/22に水戸ホーリーホックの決算が発表されました。
今期は27百万円の当期赤字を計上したものの、営業収益は過去最高でした。すごいですね。
各項目を見ていきましょう。
水戸ホーリーホック決算数値推移
※会社発表の数値(リーグ発表数値と科目と数値は異なります)
売上高(営業収入)
営業収入(売上高)は762百万円と前期比1.3%増加となりました。
最大の要因は広告料収入の増加です。前期比12.4%増加の291百万円となりました。HPのクラブのニュースを見ると、昨年から次々と新規スポンサー契約のニュースが並びます。逆境の中、素晴らしい営業力です。
入場料収入は、前期比39.5%減少の69百万円となりました。2019年には、収入を初めて1億円台にのせましたが、流石にコロナの影響がありました。
Jリーグ配分金は前期比4.9%増加の151百万円となりました。
その他は前期比6.8%増の251百万円となりました。クラブのコメントから、「クラウドファンディングでの収入2千4百万円が営業収入を伸ばした要因」とありますが、ここの科目なのかなと思います。
費用
費用をみてみます。
「事業費のうち選手・チームスタッフ人件費」は335百万円と、前期比4.4%増加となりました。
コロナ禍もありましたが、毎年人件費を積み増しています。ここで、人件費と順位の推移を表にしてみたので確認してみます。
水戸ホーリーホック 人件費と順位の推移
人件費の積み増しが、成績に寄与していることが傾向としてみて取れます。
一般管理費は、前期比14.4%増加となりました。HPでは、「試合関連経費、広告宣伝費、物販関連費増」について触れていましたので、緊縮運営のチームが多い中、攻めの経営をしているのでしょう。実際、広告収入等が増えているので、費用の増加が果実をもたらしていると言えるでしょう。
増資
損益の方も、しっかりコロナ禍を凌いでいる水戸ですが、すごいのはこの逆風の中、資本を積み増していることです。
168百万円の資本増強をしています。自己資本比率は42.9%と前年度の17.9%から改善しました。当期も赤字だったにも関わらず利益剰余金のマイナスが減少しているので、増資に伴い、減資も当期のどこかでやったのかなと思います(減資+増資の意義はこちらで投稿させていただきました)。なお、J2平均の自己資本比率は2019年シーズン末で、33.0%なので、かつての財政難が嘘のようです。
HPを見ると、既存株主と第三者割当増資のニュースが何度も出てきているので、薄く広く募ったのでしょう。
今期予算
「今期は営業収入8億3百万円、営業費用8億6千万円、当期純損失59百万円という予算を立てました。赤字予算ではありますが、収入は固めに、支出は多めに見ており、十分に赤字額を減らせると考えております」とクラブは発表しています。
厳しい今期に増資を済ませたことから、引き続き前向きな取り組みを進められます。限られた範囲ながらも、補強等にも積極的に取り組むのではないでしょうか。
また、以前から数値目標として「11のゴール」を設定しています。
①総売上 8.0億円②入場者平均3,500人③有料入場者割合80%④シーズンシート販売数1,030席⑤広告料収入3.0億円⑥オフィシャルパートナー社数186社⑦グッズ売上1.02億円⑧ユニフォーム販売枚数2,000枚⑨サポーターズクラブ会員数2,700人⑩スクール会員数500人⑪JリーグID登録者数20,000人
このように定量的な目標を設定しつつ、J2クラブ平均である16億円(2019年度)を営業収入の当面の目標として設定しています。
役員の交代
本開示では、決算に加え役員の退任及び新任が公表されました。
新しい役員の体制は以下の通りです。
各新任役員を検索してみましたが、いずれも40代くらいの若い地元の経営者ばかりです。昨年7月に中興の祖である沼田邦郎氏が退任され、新たに小野氏が代表取締役に就任されましたが、経営陣としてバトンタッチも終わり、全体としたの若返りが図られたと推察します。
しがらみも少なそうで、さまざまなチャレンジが出来る経営陣であると推察します。
新スタジアム
現在、建設用地選定と基本計画・コンセプトの策定を行っているそうです。そうするとここから5年-10年くらいの時間軸でしょうか。
前回、水戸ホーリーホックについて投稿させていただいた記事でも取りまとめた通り、入場者数も上向いています。デロイトによると、イングランドのトッテナムは新スタジアム完成後、2期連続で税前利益最高益を記録したそうです(しかし、負債は増えた)。スタジアム建設の原資にもよりますが、新スタジアム建設はクラブの経営を支えることになるでしょう。
今後の水戸ホーリーホックの躍進を楽しみにしています。
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