サガン鳥栖2021年1月期決算速報:悪材料出尽くし

サガン鳥栖2021年1月期決算

サガン鳥栖の2021年1月期決算が発表されました。
各数値は以下の通りです。

 

売上高(営業収益)

損益計算書の上の方から行きましょう。
まず、売上高(リーグの開示では営業収益です。表記のブレはご容赦下さい)の個別項目からです。
広告収入は558百万円と前期比31%減となりました。

理由は、ご存知の通り2018シーズン限りのサイゲームススポンサー撤退に続き、2020シーズンにおけるDHCのスポンサー離脱後、新たなスポンサーが見つからないためです。驚くべきなのは2018シーズンと比較すると、広告収入がが75%近く減ってしまったことです。発表が2月であったこと、離脱したDHCも特段お金に困った会社ではないと思いますので、内部では相当ゴタゴタしたのではないでしょうか。

入場料収入は前期比72%減少の216百万円となりました。コロナの影響でやむを得ないです。

気になるのはアカデミー関連の収入です。そもそも、サガン鳥栖は育成型チームに舵を切った筈なのですが、2019シーズン、2020シーズンと減少が続いたのは気になります。単にアカデミーをコロナにより休まざるを得なかったので収入が減少しただけなら問題ないと思いますが、減少トレンドが続くようであれば、中長期的にクラブ運営に悪影響がある可能性があります。

その他収入とは、ユニフォーム契約金、グッズ販売、移籍金等のようですが、開示資料では内訳不明ですのでコメントはスキップします。

この結果、売上高は前期比36%減少の1,649百万円となりました。一般に、売上高が5%や10%減るだけでも、費用を引いた営業利益ベース、或いは当期利益ベースになると30%や40%減とインパクトが何倍にもなっておかしくありません。それが、前前期比で61%減、前期比でも36%減というのは驚くべきことです。

2019シーズンのJ1の平均営業収益が4,951百万円、J2の平均営業収益が1,655百万円でした。J2平均の営業収益水準しか稼げていないと言うことです。2019シーズンでいうと、この1,655百万円の売上高(営業収益)は、1,866百万円の大分が最下位でその下です。J2でいうと、福岡(1,577百万円)とか岡山(1,567百万円)のちょい上くらいのイメージです。なお、前クラブの営業収益はこちらに掲載しています。

費用

費用に目を向けましょう。

もっとも重要費用項目である人件費は、前期比47%減の1,279百万円となりました。トーレスとの契約解除、そして育成路線に舵を切ったことがこの数字に反映されています。しかしながら、Jリーグクラブの一般的な売上高チーム人件費比率50%程度に対してサガン鳥栖は78%。現状の売上高の水準を考えると、まだ削減が足りません。なお、5月30日付の週刊ダイヤモンドの記事では、1,169百万円をチーム人件費予算として掲げていたので、これも超過しました。

その他、本部人件費、試合関連費、アカデミー運営費等々については、これ以上減らせないか、仮に減らせたとしても、インパクトは小さいです。
この結果、営業損益は896百万円の赤字となりました。

そして、営業外収益が370百万円発生したことを主因とし、当期純損失は715百万円となりました。前期の純資産が21百万円であったことから、693百万円の債務超過となりました。

また、竹原前社長の取締役退任と保有株のベストアメニティ社への譲渡も発表されました。竹原氏は完全にサガン鳥栖と関与がなくなります。

コロナ特例でライセンス不交付回避

今回の3期連続となる赤字と債務超過により、通常であればサガン鳥栖はJリーグライセンスは交付されません。しかしながら、コロナ禍を受けてJリーグは2024年度末までに債務超過を解消を求める特例を設けました。債務超過に陥ったクラブは2024年度末までに債務超過解消が必要になります。
以上により、サガン鳥栖は、①債務超過解消、②黒字の収益体質構築が喫緊の課題となります。

債務超過解消

サガン鳥栖の債務超過には7億円の資本調達をする必要があるのですが、幸い地域一帯でサガン鳥栖の支援で意見は一致している模様です。必要資金7億円程度という規模を考えると恐らくなんだかんだで必要な資金は地元経済界で調達できるのではないかと思います。

竹原前社長はまだ未練があるようですが、7億円の増資に当たっては竹原社長の辞任は必須だと私は思います(記事でも株主に求められたとコメント)。一つは経営責任、新しい出資者にとってはもう一つは何度も会社を潰しかけた人にお金を出すのは怖いからです。

収益構造の改善

サガン鳥栖の場合、収益構造の改善がより大きな課題です。

債務超過解消は、普通に考えれば一度解消してしまえば済む問題です(サガン鳥栖はそうではありませんでしたが)。しかしながら、収益構造の改善は毎年の話です。毎年稼がなければなりません。

まず、金監督の素晴らしい采配によりチームは好調ですが、現戦力を維持する前提が前期チーム人件費の1,279百万円とすると、2,500百万円程度の売上高(営業収益)が必要と試算されます。850百万円足りません。

コロナ禍であることを考慮すると売上を1.5倍に増やすのはかなりしんどいです。5%、10%だってしんどいです。仕事ってそうですよね。

一方で、福岡現社長は「売上高20億円を目指す」と言っています。現実的な目標なのでしょうが、そうするとチーム人件費に回せるお金は1,000百万円ほどです。現在のチームの人件費を賄えなさそうに見えます。ここのところはどうなるんでしょうか。この前提だと、さらにチームを縮小する必要があると見込まれます。

福岡社長にバックアップを

福岡氏が社長という体制に懸念を感じます。

まず一つ目の理由は、福岡社長は佐賀県サッカー協会会長と兼務のようで、社長は専任であるべきだということです。

もう一つは業務経験にお金をやりくりしてきた経験があるかということです。サガン鳥栖の問題はずっとお金にまつわる問題でした。お金のことを考えずに理想を求めてきたのが今の状況です。要は中国のクラブのようなことをしてしまったということです。一応、決算の記事では筆頭株主として、先程の「売上高20億円」の記事の会見でもベストアメニティ社の内田社長がコメントしているので、きちんとしたバックアップが行われることを期待しています。

コロナの今後の影響はさておき、現時点の不確定要因や悪材料はこれでとにかく出尽くしたと思います。社長も交代したので、パルプンテはなさそうです。経営陣は①売上増、②コスト削減、③資本調達に邁進するだけです。

 

 

 

 

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