債務超過は4割。債務超過解消のための特例措置設定:Jリーグチェアマン定例会見発言録

財務基準に関する特例措置

あけましておめでとうございます。
秋の間はブログを留守にさせて頂いたのですが、2020年10月20日に第9回Jリーグ理事会後での定例会見内容の開示において、クラブライセンス判定における財務基準に関し、Jリーグが特例措置を設定することが明らかになりました。
少し前の話ではありますが、一旦頭の中を整理したい部分があり、備忘事項として記録しておきたく投稿させていただきます。
年始ということで華々しい投稿としたかったところではありますが、しょっぱい内容となり、すみません。

Jクラブの財務状況

会見によると、8月末時点において56クラブのうち約8割が赤字、約4割が債務超過になる見通しであるとのことです。しかしながら、責任企業の支援、スポンサーとの調整、国による新型コロナウイルス対策制度の融資、市中の銀行の制度などの活用により、現時点で資金繰りが困難に陥っているクラブはほぼ存在しない状況であると説明されています。
数字的なインパクトとして、前年比でスポンサー収入が90%、1億円ほどの減収見込み、入場料収入でいうと60%、1億5,000万円ほどの減収見込みです。
カテゴリ別の損益計算書の平均数値は以下の通りです。
J1クラブのスポンサー収入の平均は22億円に対し「スポンサー収入90%、1億円ほどの減収見込み」というのは、なんだか数字上しっくり来ません。クラブ個別で見ると7億円の大分から74億円の神戸まで幅広く、参考数値として受け止めるくらいが良さそうです。なお、J1平均の当期純損失が1.15億円の赤字です。そして鳥栖の影響を抜くと0.56億円の赤字になります。
但し、来季の影響としては、スポンサーがスポンサー料を本格的に絞るのは来季からだと思いますし、今のコロナウイルス感染状況を勘案すると、J1平均9.26億円の入場料収入も、J1平均4.36億円の物販収入も影響を受けると思います。結果、J1クラブでは5億円規模の減収はあってもおかしくないのかなという印象です。

従来の財務基準

こうした状況の中、財務基準の運用を確認したいと思います。財務基準はJ1〜J3ライセンス交付の重要な審査基準であり、これに抵触しライセンスが交付されない場合、J3リーグ、日本フットボールリーグ (JFL) 、あるいは地域リーグへ降格となる可能性もあります。
財務基準については、以前の投稿「首の皮1枚繋がったFC琉球〜2018年度クラブ経営開示情報を読んでみた(6)〜」でも記載させていただきましたが、以下の運用になっています。
3以上連続で当期純損失を計上した場合
※ただし、 ライセンスを申請した日の属する事業年度の前年度末日 現在の純資産残高がライセンスを申請した日の属する事 業年度の前年度の当期純損失の額の絶対値を上回っている場合は本項目に該当しないものとみなす)
②債務超過の場合
Jリーグからの指摘に基づき、過年度の決算を修正した結果、 2号に示す事態となった場合
簡単に言えば、3期以上連続で赤字であっても、債務超過でなければ良いというものです。

2021年から4年間の特例措置

現在の状況に対し、これまでの「債務超過、3期連続赤字」のルールを変更し、下図の通りの特例措置を導入します。
補足説明します。原則として、以下の3期間に分かれます
◆特例措置期間(2020年度末〜2021年度末)
3期連続赤字ルールは適用しない。やむを得ない。
・債務超過を認容。やむを得ない。
◆治癒期間(2022年度末〜2023年度末)
3期連続赤字ルールを適用開始。
・債務超過は認容。やむを得ない。
◆通常期間
2022年度末から赤字が継続しているクラブは、2024年度に3期赤字のルールでアウト(3期連続赤字であっても、資産超過であれば一応OK)。
・債務超過もダメ。

クラブの対応

会見によると、一般に債務超過に陥ったクラブについては、責任企業を持つクラブと持たないクラブで対応が分かれます。
責任企業を持っているクラブは、今年1年間で解消してください、とリーグから言われれば、親会社の損失補填、あるいは増資で解決するという事例が多く、親会社に余裕がない場合は、複数年かけて損失補填あるいは増資で解決するというところもあるそうです。 一方、J2、J3に多い責任企業を持たないクラブは、まずは収益向上、スポンサーの増加、資本政策、これは増資での解消です。こうしたことを計画しながら、2年、3年かけて計画して対応するのではないかという見解です。まあ、「そうでしょう」という感じです。
また、債務超過からの治癒までの期間について、各クラブから以下のような意見が出ているようです。
猶予期間は長い方がいいが、長いから解決できるものでもなく、一つの考え方として、増資、資本金を増やすというものが出てきます。実際にいろんな声がありまして、1年間を短く期限を区切って前倒しにしてもらった方が、親会社がすぐ動くからいいとか、2年後、3年後に増資のお願いにいくよりも、リーグのライセンスがこの期間をもってアウトになるから、地域と相談して早く増資に動きたい、その方がおそらく普通にお願いしても協力してくれない企業が向いてくれるかもしれない、そんな会話が意外と多く、長い方がいいけれど、長いから解決できるものではないといったクラブの声を聞いた結果、2年プラス2年ということにさせていただきました。

その他 来季のリーグによる配分金交付方針

また、2021年度のJリーグからクラブへの配分金について、以下の方針が示されました。
従来の運用方針
新たな運用方針
1
均等配分金
J1が3.5億円、J2が1.5億円、J3が0.3億円
維持
2
降格救済金
降格前に所属したリーグの均等配分金の80%を降格1年目に交付
期間を1年延長。降格前に所属したリーグの均等配分金の80%を1年目に、60%を2年目を交付
3
理念強化配分金
3年間にわたり27.8億円を支給予定
2020年当初支給予定:J1優勝5.5億、2位2.5億、3位2億、4位1.8億※詳細はリンク参照
停止
4
ACLサポート配分金
1クラブ2,500万円交付
1クラブ1億円交付と増額。
5
賞金
2020年は半額の運用
従来水準に戻す。例)J1:優勝3億、2位1.2億、3位0.6億。詳細はリンク参照。
6
ファン指標配分金
総額5億円
維持
7
JリーグU-21選手出場奨励金
J2:1クラブあたり300万円、J3:1クラブあたり200万円
2020年に続き停止
Jリーグとしては、現状ある予算の中で現実的な運用方針を示していると言えます。これもDAZNマネーがあってこそ。本社の財務的な懸念に加え、日本事業の巨額の赤字を噂するニュースも目にする中、DAZN次第の綱渡りの状況とも言えそうです。

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