アタランタ:プロヴィンチャからの出世

アタランタの好調

15年ほど前、セリエAを見ていたころがありました。
当時、アタランタはカリアリ、エンポリ、レッチェ、バーリ、コモなどのような地方クラブの1つでなんとかかんとか残留争っているクラブという認識でした。
アタランタはミラノから電車で約1時間。クラブのあるベルガモの街の人口は約12万人でこじんまりした都市です。
そのような小さな町のクラブがチャンピオンリーグで大活躍し、当時の印象が強い私としては、名だたる強豪に混じってアタランタの名前があることがとても新鮮です。
アタランタ セリエA順位

スタジアム改修計画

1928年以来、「スタディオ・アトレティ・アズーリ・ディターリア」を本拠地としてきました。2017年8月、クラブは同スタジアムをベルガモ市から11.2万ユーロ(約15億円)で購入。2018年10月、スタジアムの改修契約交付についてベルガモ市と合意し、3段階で改修を実施しています。

以前の収容人数は21,300人でしたが、総工費4000万ユーロ(約52億円)の改修工事後は24,000人に増えるそうです。さらに命名権でゲヴィス・スタジアムと改称されます。

2021年に改修の全工程が完了する予定です。なんといっても1928年から改修されていないそうなので、本スタジアムはいわゆる戦前のものですが、現状写真で分かる通りカッコイイものになりそうです。コロナ禍収束後は、入場料収入が期待出来ます。

改修前のスタジアム
現在の状況

アタランタの躍進

KPMGのFootball Benchmarkでも、うまく運営されているクラブとして特集していますので、ご紹介させて頂きます。
アタランタの躍進は、2016年にガスペリーニ監督が就任してから始まります。その年、アタランタはセリエAを4位で終えました。このため、ヨーロッパリーグへの出場が決まり、26年ぶりのUEFA主催の大会への出場となります。翌年以降は7位、3位、3位とシーズンを終えます。この結果、2019-20シーズンは、チャンピオンリーグで準々決勝まで進出しました。その際、PSGに敗退するも、レアル・マドリードをラウンド16で退けました。今シーズンもアタランタはセリエAで2位と好調です(2021年5月23日現在)。来シーズンもチャンピオンリーグが見込まれます。
大会の結果もさることながら、ここ5年間マネジメント面でもアタランタは目覚ましい成果を上げています。アタランタは毎年、財務面での改善を見せるだけではなく、コロナの影響にも関わらず2020年に黒字決算となった数少ないクラブです。なお、アタランタの決算は12月決算なので、コロナの影響が一部しか反映されない6月決算のクラブより厳しい条件です。
KPMGは、過去5年間の財務的な成長のポイントをピックアップしています。

5年間で売上は3倍

2020年、アタランタの営業収益(売上高)は2016年のほぼ3倍の152百万ユーロ(約200億円)となりました。この結果、旧来のビッグクラブとの差が縮めています(欧州ビッグクラブの営業収益についてはこちらをご参照下さい※アタランタは恐らく決算期の問題でランキングに入っていません)。営業収益増加の主因はELやCLなどの国際大会の出場です。これにより、2020年には61百万ユーロ(約79億円)を稼ぎました。これは、クラブの営業収益の40%を占めます。以下のグラフでは比率自体は落ちるものの、商業収入は16.5百万ユーロ(約21億円)から30百万ユーロ(約39億円)と5年間で80%増加しました。
アタランタ過去5年間の営業収益と内訳の推移
商業収入についても、アタランタは大きな伸び代があります。例えばアタランタは、金融サービスを提供するイスラエル企業「Plus500」、用具メーカーのJomaから9百万ユーロ(約12億円)を得ています。一方、ユベントスは、ジャージのサプライヤー(ジープ)と用具サプライヤー(アディダス)からの収入は、アタランタの10倍の94百万ユーロ(約122億円)です。現状の好成績が続けば、まだまだ成長余地があります。
セリエAトップクラブのメジャーシャツサプライヤー及び用具サプライヤーからの商業収入

バランスの取れた支出

コストの側を見ると、アタランタのコストは2016年から81%増えています。これは、大会での好成績を狙ったものです。2020年、クラブはスタッフのコストに74百万ユーロ(約96億円)を投じました。これは、ミラン、ローマ、ナポリの半分です。インテル(198百万ユーロ、約257億円)、ユベントス(284百万ユーロ、約369億円)と比べると、それぞれ37%、26%です。
アタランタの人件費

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