アタランタ:プロヴィンチャからの出世

スポンサーリンク
スポンサーリンク

選手の売買

アタランタの最近の好調の重要なポイントは、ガスペリーニ監督と連携した選手の移籍です。ガスペリーニ監督は、オーナーとともにユース選手をチームに組み込みながら、バランスのある選手の売買を行なっています。これにより、オフザピッチ、オンザピッチ双方での飛躍が成し遂げられています。
実際、過去5年間、アタランタは選手売買で利益を出しています。2016年で22百万ユーロ、2020年には、パンデミックにも関わらず過去最高の68百万ユーロ(88.4億円)の利益を出しています。
アタランタは、イタリアにおいて屈指のユース育成プログラムを有しています。例えば、今年の初めには、アタランタは18歳のアマド・ディアロを19百万ポンド(約29億円。更に追加で18.2百万ポンド、約28億円)売却したと報じられています。このコートジボアール出身のウインガーは、13歳の時にアタランタのアカデミーに入団しました。
加えて、彼らはセカンダリーマーケットでもうまくやっています。好例は、オランダのヘラクレスからやってきたサイドの選手であるロビン・ゴセンスです。ゴセンスとは、2017年に1百万ユーロ(約1.3億円)でサインしました。26歳になった現在、ゴセンスの価値はは30百万ユーロ(約39億円)とKPMGの評価ツールでは試算しています。
結果、アカデミーシステムで成長させたり、小さな国のリーグから比較的安価な選手を獲得し、将来的に売却することで、アタランタは巨大な利益を出し続けています。昨年、アタランタは、デヤン・クルセフスキーをユベントスに35百万ユーロ(約46億円)で売却したと報じられました。しかしながら、このスウェーデン人のストライカー獲得に投じたのは3.5百万ユーロ(約5億円)でした。
アタランタのスターティングイレブンの値段を見れば、彼らの稼ぎっぷりは明白です。下図が示すように、これら11人の獲得コストは95百万ユーロ(約124億円)です。一方で、2021年4月時点でのKPMGの試算によると彼らの市場価値は、218百万ユーロ(約283億円)です。
アタランタ先発イレブンの価値
スポンサーリンク

直近5年間の利益合計

安定的な営業収益と、選手売却による利益は、ここ5年に成し遂げた利益の基盤となっています。イタリアのトップクラブの合計の利益を比較すると、2016年から129百万ユーロ(約168億円)と、アタランタが最も良いパフォーマンスを示しています。
過去5年の平均で見ると、アタランタは平均毎年25百万ユーロ(約33億円)の利益を出しています。一方、最悪のパフォーマンスを示しているACミランは、平均125百万ユーロ(約163億円)の損失を示しています。
イタリアトップクラブの直近5年分の利益合計
スポンサーリンク

好循環

アタランタは、好循環を実現しています。好成績により、UEFAからのお金や認知度やブランド確立により、商業収入の増加など利益を生み出しています。そして、この増収を好成績実現のためのより良い選手獲得に活かしています。
アタランタは、50万人のフォロワーを増やしました。ソーシャルメディアにおけるアタランタの人気は、このプラスのトレンドを示す証拠となっています。
ソーシャルメディア フォロワー数

最後に

KPMGが取り上げる通り、アタランタは地方クラブ躍進の一つのモデルです。チーム強化による賞金獲得、入場料、商業収入、選手売買、コスト管理とサッカークラブとして必要なことをきっちりやった結果と言えるでしょう。
しかしながら、内容を理解する限り、どうしてもガスペリーニ監督の手腕に依拠していることは否めません。次のステップでは、ガスペリーニ監督以降にクラブとしての力が問われそうです。
Jリーグのチームとしても参考になるところはあります。アカデミーなどの選手強化事例や選手をいかにお金にしていくか、そして改修後のスタジアムがどのように経営にインパクトをもたらすかというのは参考になりそうです。一方で、アタランタの成功事例は、放映権収入の増加や高額賞金などがあってこそとも言えます。日本では、クラブの手の届かないところとして、リーグの賞金金額の底上げやACLの賞金など、大会のインフラ底上げが求められます。
UCLとACLの賞金比較

コメント

タイトルとURLをコピーしました