ブラウブリッツ秋田2021年1月期決算レビュー:債務超過も手元資金をしっかり確保

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ブラウブリッツ秋田 2020シーズン財務諸表

J2参入初年度の今年、6月5日現在12位で好調のブラウブリッツ秋田2021年1月期の決算を眺めてみましょう。
ブラウブリッツ秋田2021年1月期損益計算書
ブラウブリッツ秋田2021年1月期末貸借対照表
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営業収益

営業収益(売上高)は461百万円で前期と同額でした。461百万円という金額は、2020年シーズンJ3の平均営業収益463百万円とほぼフラット。J3の16クラブ中8位と、営業収益的に中位規模のクラブながら昇格を遂げました。
営業収益の金額としてはJ3平均より少し低い水準です。下図の通り少しずつ平均に追いつきました。そして、次の目標はJ2平均となると思われますが、少し時間が必要なようです。
ブラウブリッツ秋田の営業収益推移
営業収益の内訳は、広告料収入は266百万円と前期比増減なし。入場料収入は19百万円と前期比5%減少。Jリーグ配分金は28百万円と前期比4%増加となりました。
アカデミー関連収入は前期比32%減少の32百万円でした。恐らく、コロナの影響でスクールの休業が発生したためであると推察します。物販収入は前期比64%増加の18百万円でした。チームの好成績及びコロナ禍支援を踏まえたサポーターによる支援かと思われます。
その他収入は前期比9%増加の98百万円でした。
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営業費用

営業費用を見てみましょう。
チーム人件費は前期比14%増加の184百万円でした。これもJ3の16チーム中8位です。
人件費率は40%。サッカークラブの収益構造として人件費率は50%程度が基本です。しかしながら、下位リーグになるほど人件費率は低下する傾向があります。2020シーズンでいうとJ1平均は64%(2019シーズンは50%)、J2平均は49%(2019シーズンは46%)、J3平均は40%(2019シーズンは28%)でした。秋田の人件費率はJ3平均と同じ40%でした。
人件費は、費用科目としてチームの成績に直結する費目ですが、以下の通り秋田がJ3に昇格してからの推移は下図の通りです。
ブラウブリッツ秋田のチーム人件費推移
営業収益と同様で、J3平均に追いついたところです。現状はJ2平均の水準にはやはりまだギャップがある状況です。
試合関連経費は前期比12%増加の28百万円。トップチーム運営経費は前期比6%減少の79百万円でした。アカデミー関連経費は前期比41%減少の19百万円でした。物販関連費は前期比127%増加の25百万円でした。
債務超過の要因の一つとして、秋田魁新報では「飛行機の減便などでトップチームの遠征の旅程が伸びるなど、経費がかさんだ。」としています。遠征の経費は「試合関連経費」に含まれているのかなと思います。
販管費は前期比7%増加の176百万円でした。
全体的にJ3平均では12%増加し、秋田は176百万円と前期比7%増加しました。あまり経費削減はうまくいかなかった模様です。J1(前期比12%減少)、J2(前期比2%減少)はともに減少にもかかわらずJ3だけ増加です。やはりJ3クラブは先ほどの遠征費の問題をどこも抱えているのかもしれません。
この結果、営業利益は50百万円の赤字。営業外収益が前期比133%増加の21百万円計上したこともあり、経常利益及び税前利益は34百万円の赤字。当期利益は34百万円となりました。
前期末の純資産が17百万円であったため、17百万円の債務超過となりました。

ブラウブリッツ秋田の債務超過と財政状態

秋田の債務超過をどう考えれば良いのか。
まず、債務超過は増資か翌年以降の利益の積み上げで解消する必要があります。債務超過額が17百万円であればそれほど難しいことはないでしょう。また、Jリーグのクラブの自己資本比率は30%が目安です。2020年末の総資産をベースに考えると、30%に戻すためには、債務超過額17百万円+総資産144百万円×30%=60百万円の増資及び利益積み上げが必要です。
実際、チームは「収支改善や第三者割当増資で債務超過の解消を図る。」としており、債務超過解消はJリーグの定める2023年度までには可能な金額だとおもいます。また、一般的な自己資本比率に引き上げるために43百万円の資金を積むこともそれほど難しい額だとは思いません。
債務超過=倒産ではありません。
資金繰りが回らない時が倒産です。資金繰りとは必要な支払を実行でき、事業を継続することです。
それを念頭に、ブラウブリッツ秋田の財政状態の安全性を指標を使って確認しましょう。
ブラウブリッツ秋田 安全性分析指標
以上の通り、債務超過(自己資本がマイナス)を除けば、問題はないのかなと思います。そして、前述の通り債務超過も何とかなりそうです。
Jリーグ開示の貸借対照表を見る限り、固定負債が17百万円から121百万円に1億円近く増えています。そして、流動資産が38百万円から108百万円に増えているところから、恐らくコロナ禍を受け、銀行なりJリーグなりから5年以上の借入を実施したのでしょう。
この結果、十分な手元資金をもった上で、目先支払に必要な資金を確保したのではないかと思います。借入については、先述の通り長期の借入ですので、少しずつ返していくことになります。
この結果、債務超過額もそれほど大きくなく、目先の手元資金も十分ということで、短期的には問題ない財政状況といえると思います。

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