アビスパ福岡2023年1月期決算速報

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アビスパ福岡2023年1月期損益計算書

アビスパ福岡の2023年1月期の決算が開示されました。同時にクラブはYoutubeにて決算説明の動画を同時に投稿しました。
開示されたアビスパ福岡の2023年1月期決算数値は大まかなものであるものの、動画での説明によりクラブが何を考えているのか、Jクラブとはどういうことが考えられ運営されているのかがわかるとても良い情報開示となっているのでまとめてみました。
HPにて開示されたアビスパ福岡の2023年1月期の決算は下表の通りです。
アビスパ福岡2023年1月期損益計算書
金額構成比金額構成比前期比
売上高2,132100%2,829100%33%
売上原価2,407113%2,53390%5%
売上総利益-275-13%29610%黒字転換
販管費20710%28210%
営業損益-482-23%140%黒字転換
経常損益-502-24%161%黒字転換
当期純損失-505-24%-10%504百万円赤字減少

(出所:クラブHPから当ブログ作成)

売上高は前期比33%増加しました。売上原価と販管費を足した営業費用は2,815百万円と前期比では8%増加しました。この結果、当期の営業利益は14百万円、経常利益は16百万円とそれぞれ黒字転換しました。しかしながら、当期純損益については、黒字化に至らず1百万円の純損失を計上しました(前期比504百万円改善)。当期純損失において1百万円の赤字となったのは特別損失ではなく税金の影響だそうです。

この結果2023年1月期末の純資産は-333百万円となりました。前期末より債務超過額は22百万円減少しました。1百万円の純損失の計上にもかかわらず債務超過額が縮小したのは、エイジェック社による増資によるものであると推察しています。

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営業収入(売上高)

営業収入は2,829百万円と過去最高売上を更新しました。前期比33%増加となります。これは主に広告料の増加及び入場料収入の増加によるものです。
歴史的に見ればJ1の年に営業収益が増え、J2に降格して落ち込む状況サイクルが続いていますが、当期は後述のチケット代値上げが特に大きく寄与して増収し、新たなトレンドに入っていると言えそうです。
(出所:クラブ決算説明動画)
営業収入の内訳は以下の通りです。
2023年1月期前期比営業収入内訳
2021実績2022(実績)
金額構成比金額構成比前期比
広告81338%1,24344%53%
入場料31315%48017%53%
グッズ1728%1746%1%
配分金40919%42415%4%
スクール1306%1425%9%
アカデミー965%532%-45%
その他1999%31311%57%
合計2,132100%2,829100%33%
(出所:クラブHPから当ブログ作成)

 

(出所:クラブ決算説明動画)

広告収入は2023年1月期は1,243百万円と前期比53%増加し、増収に大きく寄与しました。広告収入確保のため、クラブとしては1日三件訪問(→年間1000件以上)に担当が取り組んでいます。小口な広告では5万円から出稿できます。それをきっかけに団体チケットやグッズの購入につなげたり、LEDなどの追加の広告出稿に取り組んでいます。売上を重視しつつ、訪問回数をKPIとして取り組んでいます。

(出所:クラブ決算説明動画)

入場料収入についても480百万円と前期比53%増加と大幅に増加しました。

(出所:クラブ決算説明動画)

これは先述の通り入場料値上げによるものが大きいです。川森会長は入場料についての考え方を次の通り説明しています。

年間入場者は2006年が一番多く、2番目が2016年シーズンになります。当期の入場者数は史上13番目ではあるものの、売上高は過去最高となりました。クラブは2020シーズン以降無料チケットを廃止しています。かつて、2016の後のJ2降格後も無料券の配布を増やしたものの、観客数は伸び悩み、街中の店舗に無料券が置いてある状況だったそうです。加えて、当時の陸上競技場での試合開催も観客動員伸び悩みの要因であると考えています。

なお、2022シーズンの5月時点で1試合あたり平均入場者数が5,830名だったのが、2023シーズンの5月時点で7,229名(前期比29.3%増加)となっているそうです。無料券の廃止や値上げは受け入れられているものと考えられます。

(出所:クラブ決算説明動画)

チケット単価については、2017年に最安値の907円となったものの、上表の通り上昇し、2023年1月期2023年1月期には3,372円となりアビスパ福岡の入場料収入を押し上げました。川森会長はこれについてサポーターの反応も意識し追加説明を行っており、鳥栖との比較として後述します。

(出所:クラブ決算説明動画)

グッズ販売については174百万円と前期比1%増加となりました。増加幅については小幅にとどまるものの過去最高の売上金額となりました。

(出所:クラブ決算説明動画)

サポーターより、「購入するユニフォームがどれくらいクラブに寄与しているのか?」という質問がよく出ることからその売上高も示されました。グッズ販売額174百万円のうち半分弱がユニフォームの売上であるということがわかります。

ユニフォームについては、シミュレーションをして販売した結果、ここしばらくは毎年完売しており、期末の値下げ等をすることも考えていないそうです。一方でサイズ別の品切れ状況を課題として言及しています。

なお、クラブとしてユニフォームはオーセンティックユニフォームを取り扱い、レプリカユニフォームは販売しない方針だそうです。低価格、安価なものについてはベーシックTシャツを販売するのが基本的な考えとのことです。

2023年1月期営業収入内訳予実比較(単位:百万円)
2023年1月期計画2023年1月期実績
金額構成比金額構成比計画比
広告1,28846%1,24344%-3%
入場料47017%48017%2%
グッズ1826%1746%-4%
配分金40614%42415%4%
スクール1495%1425%-5%
アカデミー582%532%-9%
その他2579%31311%22%
合計2,810100%2,829100%1%
上表は2023年1月期の決算に関する、当初計画との比較です。当期は大きな増収となりましたが、大きな柱となる広告収入で計画未達です。グッズ、スクールアカデミーも未達です。最後に「その他」の項目は22%増加し、計画比では22%の上ブレです。この内容は、移籍金やファンクラブ、サプライヤー収入、賞金等で、若干計算しにくい項目にて押し上げたように見えます。
ひょっとしたら、営業収入の説明時の川森会長が結構な増収にも関わらずそれほど浮かれた感じがなかったのはこれらの未達のせいかもしれません。
営業収益2024年1月期計画内訳
2023年1月期(実績)2024年1月期(計画)
金額構成比金額構成比前期比
広告1,24344%1,14639%-8%
入場料48017%53018%10%
グッズ1746%2067%18%
配分金42415%33011%-22%
スクール1425%1575%11%
アカデミー532%562%6%
その他31311%48717%56%
合計2,829100%2,912100%3%

上表は今期2024年1月期の計画です。全体で営業収入は3%増加を見込んでいます。最大の割合を占める広告収入は8%減少することを見込んでいます。これは、事業環境としてスポンサーの広告出稿がシビアになっていることを感じているためです。今シーズンのユニフォームスポンサーについては、動画をアップした時点では成約に至っていません。クラブは来シーズンとセットで契約したい方針です。

入場料は来場者増加により530百万円と10%増加を見込んでいます。入場料の値上げ手法のとして、クラブはダイナミックプライシングを導入していますが、今までは全試合で行っていたものを、今走っているシーズンではポイントの試合でやる方針とのことです。来年についてはまだどうするかは決めていないそうです。

配分金についてはJリーグからの配分金減少の公表に合わせて減少予想としています。Jリーグは厳しい新型コロナウイルス蔓延時にも配分金を維持していましたので、リーグの原資が現象する中、ひと山過ぎたということで減額を行うのでしょう。

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人件費

チーム人件費は2,726百万円と過去最高となりました。この人件費がJ1残留の原動力となったといえるでしょう。
篠田監督で戦った2011シーズンは428百万円、井原監督を擁した2016シーズンは937百万円だったので「1年で降格すべくして落ちてしまったのかな」と川森会長はコメントしています。やはりJ1に定着し、強豪チームになるためにはさらに人件費の積み増しが必要であり、それをねん出するためにどのような手を打つべきなのかというのが経営陣の意識であると説明してくれています。

(出所:クラブ決算説明動画)

なお、今期も夏のウインドウを視野に入れて補強の予算は組んでいるものの、無理をせず条件が揃った際に獲得するイメージのようです。

当期純利益と債務超過解消についての見解

 

2020シーズンはコロナ禍とJ1定着の投資が重なり大きな損失が出ています。この結果、債務超過となりました。

(出所:クラブ決算説明動画)

クラブはJリーグのクラブライセンス財務基準に照らし、2023年1月末現在の債務超過を2025年1月期末には解消することを課題としています。川森会長によると、単年度では債務超過を解消することを想定していません。現在、入場料収入や広告料収入などに関し、堅めの利益計画を立てています。事業による利益の積み上げに加え、エイジェックの事例のように増資もにらみながら債務超過解消を目指す考えです。

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