ベガルタ仙台が”危険水域”というのは本当か?

スポンサーリンク
夕刊フジの「J1・ベガルタ仙台“コロナショック”で危険水域 赤字は4億円超に」という記事をみたまたま見かけて、気になって調べてみました。
スポンサーリンク

夕刊フジの記事の内容

記事の概要は以下の通りです。
  1. 1月に発表した2019年度の決算見通しでは2億7100万円の赤字としていたが、4億2700万円の赤字になる(4月3日のクラブ取締役会での数値より1億5600万円拡大)。前期比より5倍増加。
  2. Jリーグでは3期連続赤字でライセンス剥奪。2期連続の最終赤字の上、金額は過去最悪でまさに非常事態である。社長は陳謝。
  3. ベガルタ仙台は、県と市の支援がなければ潰れていた。過去には1996年に巨額赤字を計上。宮城県と仙台市が株主になる形でなんとか存続。
  4. 自立した経営を行っている楽天とは対照的。
  5. ベガルタ仙台の赤字のおもな要因について「むだな大型補強とサッカーの素人がフロントに多いこと」と断罪する関係者も多い。ベガルタ仙台の成績不振で客足が遠のいた上、コロナ禍で今季の開幕延期が追い打ちとなり、先月31日にはスタジアム内売店の経営会社が約1億円の負債を抱え破産申請。宮城県初のコロナ倒産。
  6. ベガルタ仙台の赤字のおもな要因は「むだな大型補強とサッカーの素人がフロントに多いこと」と断罪する関係者も多い。仙台の成績不振で客足が遠のいた上、コロナ禍で今季の開幕延期が追い打ちとなり、先月31日にはスタジアム内売店の経営会社が約1億円の負債を抱え破産申請した。宮城県初のコロナ倒産となった。
スポンサーリンク

 仙台の財務諸表を確認してみる

仙台はそんなに危ないのかな?と思い調べてみました。
開示されている財務諸表は最新のもので2019年1月期のものです(2018年度)が下表の通りです。
【損益計算書概要】 (単位:百万円)
2015年1月期 2016年1月期 2017年1月期 2018年1月期 2019年1月期
営業収益 2,249 2,239 2,285 2,709 2,684
営業利益 -128 17 -143 7 -81
当期利益 -107 37 -119 22 -68
【貸借対照表】 (単位:百万円)
2015年1月期末 2016年1月期末 2017年1月期末 2018年1月期末 2019年1月期末
流動資産 718 635 711 656 971
固定資産 597 573 625 642 746
資産の部   合計 1,315 1,208 1,336 1,298 1,717
流動負債 418 301 553 475 687
固定負債 323 298 293 319 332
負債の部   合計 741 599 846 794 1019
資本金 454 454 454 454 587
資本準備金等 0 0 0 0 134
繰越利益剰余金 120 155 36 50 -23
資本(純資産)の部   合計 574 609 490 504 698
【安全性分析数値】
2015年1月期末 2016年1月期末 2017年1月期末 2018年1月期末 2019年1月期末
自己資本比率 44% 50.4% 36.7% 38.8% 40.7%
流動比率 172% 211.0% 128.6% 138.1% 141.3%
固定比率 104% 94.1% 127.6% 127.4% 106.9%
固定長期適合率 67% 63.2% 79.8% 78.0% 72.4%
確かに直近では、2017年1月期、2019年1月期はそれぞれ赤字を計上しています。しかしながら、安全性分析の数値をみてみると、自己資本比率は40.7%で上から数えたほうが早いです(リーグで7位です。なお、数値が低い所で鳥栖は2.5%、横浜FMと清水は2.8%)。流動比率は141.3%で、健全性の目安となる100%も超えています。固定比率は理想的な100%以下の数字になっていないものの、固定長期適合率は72.4%であり、100%を割っているため、特段悪いとは思われず、うまくマネージできていると思います。
これで危険水域なのであれば、仙台のみならず、他のチームも同様でしょう。
スポンサーリンク

2020年1月期の赤字拡大について

この突っつかれている「赤字拡大」を掘り下げてみます。

減損損失

まず、今回は「2億7,100万円の赤字としていたが、4億2,700万円の赤字になる」というところで指摘されていますが、減損損失とは何か確認してみたいと思います。
減損損失は、過去に何かお金を投じたものに資金回収の目処がつかなくなった時に発生します。それは何か確認しなければなりませんが、これからお金が必要となるのではなく、すでに過去に投じたお金が戻ってこないということなので、チームの存続となる資金繰りには大きく影響しないと思われます。もちろん、直近にそれが何かの現金に変わって回収予定であったなら話は別ですが。
ちなみに、減損損失はよくある話で、お金を投じて出店した店舗が赤字で、資金の回収ができなさそう、あるいはお金を投じて新製品のための製造設備や工場を作ってみたが、利益にならなさそう、という時に過去の投資はダメだったということで計上します。正直、その投資プロセスの検証は社内で行われるべきだとは思いますが、このような状況では結構あるあるかなと思います。

当期損失の吟味

1月に発表した2019年度の決算見通しでは2億7,100万円の赤字ということですが、詳細情報が手元にないのでわからないものの、恐らく人件費の影響ではないかと見ています。仙台については、2019年シーズン(2020年1月期)は13節あたりでは最下位でした。そこから、シーズン中6〜7月に、ジオゴ・アコスタ、ヤクブ・スウォビィク、中原彰吾などを立て続けに緊急補強した影響が大きく、金額的にそれが全てではないと思いますが、当初想定していたより人件費が発生したというのがあるのではないかと思います。
そして、2億7,100万円の赤字については、資金繰りに問題なければ、純資産が6億7,400万円ある状況からすると債務超過になるわけではなく、耐えられるものだと思います。今期に頑張ればいいということです。但し、今回はコロナの問題でおそらくどこのチームも厳しい運営状況です。Jリーグが柔軟な措置を検討していることからすると、資格剥奪の可能性は極めて低いでしょう。

仙台の人件費

仙台のチーム人件費を確認してみました。2019年1月期は12億3,200万円です。
では、その金額がリーグの中でどうかというと・・・。
2018年度チーム人件費    (単位:百万円)
神戸
4,477
鹿島
3,157
浦和
3,108
名古屋
2,823
2,806
鳥栖
2,670
川崎F
2,614
C大阪
2,334
横浜FM
2,301
G大阪
2,193
FC東京
2,133
広島
1,864
清水
1,811
磐田
1,721
札幌
1,502
湘南
1,384
仙台
1,232
長崎
814
仙台の人件費は下から2番目、仙台から下は長崎のみです。その前の年も下から2番目、甲府の上です。その前は下から4番目です(福岡、湘南、甲府の上です)。
実際のところ、仙台市という人口からするともっと営業がお金を集めてくるべきだと思いますが、「「むだな大型補強とサッカーの素人がフロントに多いこと」と断罪する関係者も多い。」という指摘には首を傾げます。
ちなみに、2018年1月期末に資本金と資本準備金が増えています。練習環境整備のため、既存株主宛に第三者増資を行っています。トップチームや下部組織の練習環境の整備などに活用するのが目的とのこと。若い選手を育てたいという意思です。このため、もちろん連れてくる選手の目利きや判断力もあるでしょうが、何しろこの収支の規模でJ1に長い間留まっています。全く手を打っていない訳ではなく、そこまで悪く言われるほどなのかなと非常に疑問に思います。
スタジアム内売店の経営会社が約1億円の負債を抱え破産申請し、宮城県初のコロナ倒産となったとのことですが、この記事の企業だと思います。
これってベガルタが悪いんでしょうか???非常に疑問です。イチャモンをつけているだけに見えてきます。

最後に

今回、ベガルタ仙台が、以下に少ない収支規模で戦っているかを初めて知りました。これは何より、前シーズンを持って退任された、渡邉監督がよくやり繰りされたと思います
DAZNのインタビューではいつも爽やかで前向きなコメントで楽しみにしていました。非常にデキる男だと思います。仙台フロントが責められるべきことがあるとすれば、渡邉監督を放出したことだと思います。しかし、責められるべきかどうかは今後の結果次第です。
いずれにしろ、渡辺監督の新天地を楽しみにしています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました