J1昇格と定着のために
札幌の野々村社長がある記事で「J1にしっかり残るには、強化費が15億円以上はないと厳しい」と話していました。J1昇格、定着の鍵として、チーム人件費について検討したいと思います。
2018年シーズンのJ1のチーム人件費の平均は、22億7,500万円でした。
J1各チームの人件費をみてみると、下表の通りとなります。
チーム | チーム人件費(単位:百万円) |
神戸 | 4,477 |
鹿島 | 3,157 |
浦和 | 3,108 |
名古屋 | 2,823 |
柏 | 2,806 |
鳥栖 | 2,670 |
川崎F | 2,614 |
C大阪 | 2,334 |
横浜FM | 2,301 |
G大阪 | 2,193 |
FC東京 | 2,133 |
広島 | 1,864 |
清水 | 1,811 |
磐田 | 1,721 |
札幌 | 1,502 |
湘南 | 1,384 |
仙台 | 1,232 |
長崎 | 814 |
18億円の清水以下は残留争いをするチームばかりです。これをみると、15億円でも厳しいですね。しかし、2018年シーズンの甲府のチーム人件費は7億4,700万円で、その15億円の半分でしかありませんので、まずはこの財政規模の運営を目指すべきでしょう。なお、チーム人件費は、どこのチームでも概ね営業収益の半分くらいを占めます。このため、先ほどの数字から割り戻して、甲府の目標としては目標人件費15億円の2倍の30億円の営業収益を達成することが目標となるでしょう。甲府の2018年シーズンの営業収益が15億1,100万円だったので、30億円の営業収益を達成するには、ちょうど営業収益も2倍にすることが目標となります。
15億円の増収を目指す
増収を検討するために、最新の甲府の営業収益の内訳を見てみます。
金額(単位:百万円) | |
営業収益合計 | 1,511 |
スポンサー収入 | 760 |
入場料収入 | 297 |
Jリーグ配分金 | 286 |
アカデミー関連収入 | 19 |
物販収入 | 62 |
その他収入 | 87 |
新スタジアム実現は必須事項
営業収入15億円増収を目指すにあたり、まず入場料収入についてコメントします。2019年シーズンの甲府の平均入場者数が、8,273人でした。これを2倍にしたいです。山梨中銀スタジアムの収容人数が15,853人なのでで理論上はそのままでも概ね近い人数を収容できますが、現在、山梨県が進める20,000人収容の集客力のあるサッカー専用スタジアムの構想を必ず実現する必要があると思います。これにより、入場者数(収入)を2倍にし、15億円のうち3億円を工面したいところです。
スタジアムの先の戦略が求められる
残り12億円です。仮にJ1に昇格できた際は、Jリーグからの配分金がある程度の増加が見込めるため1〜2億円増えるとみなし、10億円の増収を目指すとしましょう。
しかし、ここからは企業としての戦略が必要になると思います。例えば、過去の事例から見ると、大きなスポンサーを落とす。都内のネット企業に買ってもらってスポンサー収入を増やす。東南アジア選手を獲得し、セットでスポンサー収入を目指す。スタジアムの指定管理者となり、稼ぐ。若手選手を育てて売る。何か新しい商品を売る。といったような取り組みをチームに合わせて検討し、10億円をいかに作るかの方針が欲しいところです。
すでにそうした方針や計画があるのかもしれませんが、あるのであれば、是非開示してアピールするべきです。それがサッカー専用スタジアム実現の後押しにもなるでしょう。
愛されるJ2チーム路線を目指すのも一つの選択
J2にいながら、たまにJ1昇格を目指す経営方針もアリだと思います。人口19万人、全県合わせても80万人程度というお膝元のマーケットのサイズを見ると、現在のJリーグであれば、J3にいてもおかしくないと事業環境であると思います。その中で、J1を時に伺いながらJ2を戦うというのも、コツコツしたこれまでのやり方と合ってきてそれはそれで悪くないと思います。
最後に
私は、お金がないけど頑張るチームが好きなので、甲府はいつも気にかけています。
そういうところから、今年の甲府の選手名鑑を見ていたら、たまたま金園選手の記載に目が止まりました(この人ももっと活躍できる選手で、期待しています)。彼の最近の悩みは「鳥谷の去就」だそうです。リーグ再開後は、金園選手が憂いなくサッカーに取り組んで活躍する姿が見られそうです。
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