債務超過解消がテーマだからこそ、Jクラブ持株会について考える

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栃木SC社長サポーターズカンファレンスコメント

以下の引用は、2006年12月の栃木サポーターズカンファレンスの議事録における、持株会に関する社長のコメントです。持株会をやらないクラブの一般的な考え方なのかなと思いますので、紹介します。

個人株主として皆様にご協力ただいたらどうなるのだろうとシュミレーションした時に、まずひとつが、持ち株会を設立した場合、代表者の方が永久に代表をやって頂けるということは難しく、もし仮に、50年続いた時にその代表の方がどういった方になるか分りません。また人数が増える分、年間での運営コストが恐らく投資して頂いた金額を超えてしまう日がくるだろう、という試算をしました。株主になられる 個人の方達に細かいケアのところまで実行すること含めると、今のところ我々の体制では運営をすることが難しいと思っています。ただ、資金不足になった場合などお金は集まり易いメリットがあるという事実もありますが、今のところそういった状況ではないと思いますし、今まで明確な回答をさせて頂いておりませんでした が、私が代表としてクラブ運営をしている間、実施は難しいという判断をさせて頂きたいと思っています。ご理解頂きますようお願い致します。

確かに頷ける部分があります。一方で、やる気次第かなという感想もあります。しかしながら、準備が整っていないのであれば、やらないのは経営判断としては正解だと思います。

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持株会設立・運営のために必要なこと

現状の持株会について、肯定的に理解していますが、改善の余地があるのは間違い無いと思います。そのポイントを挙げさせていただきます。

資本政策を固める

一企業として資本政策をまず固めるべきだと思います。運営にいくら必要で、そのうちいくらを出資で、いくらを借入で賄うのか、そして、出資についてはどのような株主構成を目指すのか。配当は出すのか。もちろん理想通り行かないことが多いでしょうが、ここをきっちりしておかないと、以下に述べる制度設計についても変更が発生し、不安定な仕組みになるでしょう。これは、出資者にとってハッピーではありません。一企業として求められることです。

一企業としてステークホルダーとの付き合い方を固める

クラブにとってのステークホルダーとは、選手、スポンサー、サポーター、株主、取引先、地域社会、自治体などでしょう。株式の保有により、諸々のやりとりが生まれますが、持株会会員はコアな支援者、サポーターとしてとして重要な存在になり得ます。先述の「コアサポーターとの繋がり」で触れたメリット等を最大限発現させる、経営上の政策を検討しておくことが重要だと思います。

要は、ステークホルダーとの付き合い方をきちんと定義づけすることだと思います。もちろん、コアサポーターのあって欲しい位置付けというのを定義づけした上、持株会を認めないというやり方もあると思います。

制度設計を固める

ここで、通常の株式、一般の持株会株式持分、Jクラブ持株会持分との違いを簡単に示します。

この表で何を示したいのかというと、持株会会員にとってのメリットは株主優待(特典)しかないということです。このため、持株会会員にどう報いるかという設計は重要です。例えば、無料チケットを配るクラブが多いですが、仮にスタンドが満員になるような状況になった際に、収益機会を逸してしまうという考え方もあるかもしれません。運用経費の問題もあります。永続的な組織を目指すためには、配当がない限り実質的にきちんと運営経費を徴収した方が良いとは思いますが、この場合、この節でお話ししている株主優待(特典)と合わせて、後援会との違いがなくなってしまいます。

このため、クラブの考える持株会の目的や位置付けと、それにあった制度設計が必要です

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最後に

私個人としては、先述のメリットからJクラブに持株会はあった方が良いと思います。つらつらと述べた課題やデメリットに関しては、少々大変ですが、きちんと対応できるような仕組みを作ることにより、Jクラブが一企業として一つ上のステップに上がれると思うからです。具体的な制度としては、無議決権株式が良いのではないか、運営費は取ったほうが良いのではないかと思ったりもしていますが、答えは各クラブの事情次第だと思います。しかしながら、資本政策やステークホルダーとのつながりなどから、経営手段の厚みに繋がると思いますし、資本増強が求められる今だからこそ、各クラブで議論するのに良いタイミングだと思います。

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