アビスパ福岡2023年1月期決算速報

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サガン鳥栖との比較

動画では他クラブとの比較として、各財務数値に関するサガン鳥栖との比較が示されました。なぜ鳥栖かというと、よくそういった質問を受けるということと、大分や長崎とも比較していますが、カテゴリ等も考慮し他ものとのことです。

(出所:クラブ決算説明動画)

2012シーズンにサガン鳥栖がJ1に上がって以降、アビスパ福岡は営業収入においてサガン鳥栖に大きく水をあけられてしまいました。2022年シーズンに、それ以降で初めてアビスパ福岡の営業収入はサガン鳥栖を上回りました。

(出所:クラブ決算説明動画)

 

 

 

(出所:クラブ決算説明動画)

入場料収入については、2012シーズン以降、グラフの通り大きな差がありました。2019シーズンには最大670百万円の差がありましたが、2022シーズンでは77百万円上回りました。

 

(出所:クラブ決算説明動画)

リーグ戦の1試合あたりの平均入場者は2019シーズンで8,067名の差がありましたが、2022シーズンには2,208名と縮小しています。福岡と鳥栖という都市の規模の差から見ても、アビスパ福岡には潜在的にもっと集客力があるはずです。

(出所:クラブ決算説明動画)

チケット単価については、2022シーズンに初めて鳥栖を上回りました。鳥栖が3,263円に対し、アビスパが3,372円です。ダイナミックプライシングによる実質的な値上げを導入したことが大きな要因ですが、この109円の差について川森会長は「経済圏的に許容範囲」ではないかとみています。例えばVIP席の価格をさらに上げて単価を上げる一方、ゴール裏の価格を下げるなど、席種ごとの価格決定については今後も考えていきたいとのことです。

(出所:クラブ決算説明動画)

次はグッズ収入です。2019シーズンでは1億8,300万円の差がありましたが、2022シーズンでは4400万円の差に縮小しました。2019の差はトーレス引退という特殊要因はあると思います。話は変わりますが、引退する際、今後もサガン鳥栖と接点を持つようなことを言っていたと思いますが、音沙汰ないですね。

(出所:クラブ決算説明動画)

チーム人件費については、2022シーズンの数値については鳥栖分が開示前であるため判明しないものの、2021シーズンにはすでに福岡が抜いています。それにしても、人件費がこれだけ下がってもJ1に着実に残留する鳥栖の凄さを思い知らされます。

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JリーグID分析:入場者増加に向けて

(出所:クラブ決算説明動画)

JリーグID(JID)分析について説明がありました。JIDの数はファンクラブ会員数や年間パスの販売数と比例しています。アビスパ福岡はJ1のなかでは図の通りブービーで、年間パスの購入者は2,000程度の購入数です。鳥栖はその2倍の4,000程度で年間パスの比と概ね同じような状況です(ピーク期は6,000くらいだそうです)。無料登録できるJID数を増やしながら、ファンクラブなどお金を投じてくれるファンを増やすことを課題としています。国立競技場で試合をした時に2万人、3万人に無料チケットプレゼントをしたクラブがここ最近8万、10万とJID数を増やしているそうです。今までのJIDはトップでも20万会員数でしたが、そうしたクラブが大幅に会員数を伸ばしているようです。

最近も議論を呼んだ記念試合の国立開催ですが、そうした効果を見込んでいるんでしょう。

(出所:クラブ決算説明動画)

上図はアビスパ福岡のJID登録者の年齢別の登録数です。年代としては40歳台が一番多いです。福岡市は、16~22歳の年齢層が全国的に最も多い自治体です。Jリーグ全体の課題でもありますが、若年層の取り込みを課題としています。性別についても男性74%、女性26%と女性ファンの獲得も課題です。

(出所:クラブ決算説明動画)

上図はチケット購入者の居住地です。大分からの来場者はアフェーファンです。佐賀県に関しては来場が少ないですが、鳥栖に近い久留米市や筑紫野市などからの来場者がそれにあたるとクラブは見ています。

(出所:クラブ決算説明動画)

上図はファンクラブや年間パスの購入者の来場の割合です。JリーグID会員、Jリーグアプリダウンロード者、ファンクラブ会員も2021シーズンと比べ2022シーズンは来場割合が低下しています。2021年の前売り当日チケット購入者が年間パスに移行していますが(2021シーズン1,800名、2022シーズン2,300名)、コロナ禍における入場制限を考慮し、来場者が購入するチケットが年間パスに移行する流れがありました。今年の年間パスの販売数は2,000弱とのことで、コロナ対応が緩和される中、年間パス購入の流れも弱含んでいるようです。

(出所:クラブ決算説明動画)

チーム別来場者数については、先述の通り右肩上がりであるものの、J1において最も少ない数です。

(出所:クラブ決算説明動画)

改善策として、クラブは上図の棒グラフの青部分である有料入場来場者率をコントロールしながら固定ファンを増やしたい(オレンジが無償、グレーがJIDなしの自治体招待など)という考えです。

(出所:クラブ決算説明動画)

上図はMKTB(?)というデータベースによる来場者の常連化分析です。Jリーグ定着率基準値としては65%をというのがあるそうですが、2回目以降からの当該基準を超えています。いい感じのリピート率だと思いますが、それ以上に浦和、柏、広島の数値の分析が気になります。ファン層やスタジアムのアクセスなど、個別の事情があると思いますのでどんなものか知りたいですね。

ファン・サポーターの拡大の取り組み

(出所:クラブ決算説明動画)

そのための取り組みとしては上図の「取り組み方針」の通りです。図の補足をしますと以下の通りです。

①試合告知:具体的な対応として西鉄天神大牟田線で告知を始めた。5/1から市営地下鉄空港線で子供たちへの大縁日プロモーションの告知を始めました。ライトファンへの訴求を心がけます。
②効果的なプロモーション:アビスパ福岡の試合の来場者はおひとり様、ファミリーが多いという分析結果があります。クラブはファミリーの参加を増やしたいと考えており、さらにもう一人家族をつれてきてもらえるよう訴求する方針です。
③ファンデータの有効活用し、PDCAを回します。
④チームや選手等の性質を活かした集客強化:選手の練り歩き、イベント参加定期的にやっていきます。
⑤JID登録の方に招待を活用したプロモーション。今年はJリーグが広告やSNSを活用して、JIDの新規登録者に招待チケットを抽選でプレゼントするなどプロモーションを行います。そういった取り組みを行いつつ、他のクラブの事例を共有しながらJリーグとプロモーションに取り組んでいます。
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役員人事

役員人事についても説明がありました。

概要は以下の通りです。

代表取締役会長 川森 敬史
(APAMAN株式会社 常務取締役)
代表取締役社長 古屋 卓哉 ※新任
(Apaman Network株式会社 SST推進部事業部長)
取締役副社長(非常勤) 立石 敬之 ※新任
(シント=トロイデンVV CEO)
取締役(非常勤) 吉尾 春樹
(株式会社システムソフト 代表取締役社長)
取締役(非常勤) 廣塚 浩一郎 ※新任
(株式会社エイジェックグループ 地域価値創造本部執行役員)
取締役(非常勤)  関 敬介
(コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社 ベンディング事業本部 九州地区統括部長)
取締役(非常勤) 三宅 宏治 ※新任
(福岡市 市民局理事)
取締役(非常勤) 内村 芳郎
(九州電力株式会社 常務執行役員 ビジネスソリューション統括本部 地域共生本部長)
取締役(非常勤) 大久保 昭彦
(株式会社西日本新聞社 取締役 メディア戦略・スポーツ担当 メディア戦略局長)
取締役(非常勤) 恒松 孝二
(株式会社九電工 理事 九電工アカデミー学長)
取締役(非常勤) 川原 武浩
(株式会社ふくや 代表取締役社長)
取締役(非常勤) 村中 悠介
(合同会社DMM.com COO 合同会社EXNOA(DMM GAMES)CEO)
取締役(非常勤) 渡邊 誠
(株式会社プロスタッフ 代表取締役 渡邊誠公認会計士事務所 公認会計士)
監査役(非常勤) 髙木 富士男
(株式会社福岡銀行 総務部長)
監査役(非常勤) 滝本 英明
(株式会社西日本シティ銀行 総務部長)

大きなトピックは社長の交代です。新任の古屋社長の経歴は以下の通りです。

古屋社長は34歳でアパマンホールディングスにて営業でご活躍されていたそうです。おそらく実質的な切り盛りは川森会長が行い、時間をかけて後継者として古屋社長の育成を行うのでしょう。

メディア、後援会、ボランティア等への外部への窓口及び試合運営等の管掌する実行委員は引き続き川森会長が担います。

シントトロイデンCEOであった立石氏が副社長として就任し、育成、強化を担いますが兼任です。一般論としてシントトロイデンとして兼任はどうなのかとも思いますが、DMMとの絡みでJリーグとのチャネルをシントトロイデンの経営に生かすというのもあるんでしょう。

それから増資に応じたエイジェック社から廣塚氏が取締役として就任しますが、同社がどのようにアビスパに絡んでくるのかなあと思います。

さいごに

以上が、アビスパ福岡の2023年1月期決算の速報です(ちょっと遅くて速報になっていませんが)。クラブによるYoutubeを通じた決算説明というのは、クラブの考えを肌感覚で知るとてもいいイベントだと思います。

恐らく、今後繰り返し書くことになるのでしょうが、これに加えて欧米クラブのように書面としての「事業報告」を開示してもらえると、クラブの状況がより伝わり、サポーターも含めたいわゆるステークホルダーとのより良いコミュニケーションになると思います。

 

 

 

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