コンサドーレ札幌:有価証券報告書が浮き彫りにする石屋製菓の献身

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コンサドーレ札幌が有価証券報告書を開示していた

現在、Jリーグの各チームがコロナ禍に際し、財務的な問題と向き合わざるを得ない状況となっています。そうした中で、Jリーグチームの財務諸表への関心が高まっています。

今回、北海道コンサドーレ札幌を取り上げた理由は、有価証券報告書を一時期開示していたことです。有価証券報告書は株式を購入した投資家及びこれから投資しようとする投資家に対し、会社の状況を定期的に伝えるものです。例えば、上場会社は全社開示しています。コンサドーレが平成20年5月に増資を行なった際、金融商品取引法上の理由から決算に合わせてこの有価証券報告書を開示することになりました。

コンサドーレ札幌が開示した最も新しい有価証券報告書は平成25年12月期と少し古いものとなりますが、企業としての北海道コンサドーレ札幌、そして石屋製菓との関係について、あまり報道されない情報が詰まっているのでご紹介したいと思います。一応事前に補足しておきますと、今回の有価証券報告書については決算数値以外のところを触れていきます。

なお、現在は、法的な義務がなくなったことから、決算時の開示は簡易な報告と変わりましたが、財務諸表については引き続き詳細なものが開示されています。

石屋製菓

北海道コンサドーレ札幌の胸スポンサーは、ご存知の通り白い恋人の石屋製菓です。コンサドーレ札幌の前身は東芝サッカー部であり、北海道に誘致したのが当時の石屋製菓社長の石水勲氏でした。有価証券報告書を読んでいくことで、石屋製菓及び石水勲氏の関わりが見えてきます。

なお、くれぐれもになりますが、平成25年12月末のことなので、少し現在から頭の中をスイッチして頂ければと思います。

大株主の状況(P21)

順不同に進めていきます。以下は、コンサドーレ札幌の平成25年(2013年)12月31日の大株主の概要です。

平成25年12月期末の大株主
主名 株式数 保有比率(%)
コンサドーレ札幌サポーターズ 持株会 31,160 35.56
石水  勲 10,000 11.41
石屋製菓  株式会社 8,350 9.53
株式会社  札幌丸井三越 5,206 5.94
株式会社  ニトリホールディン グス 5,100 5.82
札幌市 3,000 3.42
北海道 3,000 3.42
サッポロビール  株式会社 1,600 1.83
大成建設  株式会社 1,000 1.14
株式会社  北海道新聞社 1,000 1.14
18,200 20.8
87,616 100

この有価証券報告書において、北海道コンサドーレ札幌は石屋製菓の子会社となっています。一般に、子会社の考え方として、50%超の株式を保有すると連結子会社となり、40%以上の保有であっても、40%以上の株式を保有され、営業方針の決定権、役員の派遣状況、資金面等から判断して実質的に支配されていると判断される場合にも連結子会社とされることがあります。先ほど、北海道コンサドーレ札幌は石屋製菓の子会社であることをご説明申し上げましたが、石屋製菓は9.53%の保有にとどまり、石屋製菓の大株主である石水勲氏の保有比率(間接保有)を加えても、20.94%にとどまります。しかしながら、これからのご説明の要因により子会社という扱いになっています。

役員の状況(P24)

当時の役員の構成は以下の通りです。

役職 氏名 生年月日 出身
代表取締役 社長 野々村  芳和 昭和47年5月8日 サッカー選手等
専務取締役 町田 文夫 昭和21年12月27日 札幌市職員等
取締役 石水 勲 昭和19年5月4日 石屋製菓
取締役(社外) 荒木 啓文 昭和24年9月12日 札幌商工会議所等
取締役(社外) 佐藤 公一 昭和24年5月24日 北海道サッカー協会
取締役(社外) 菊地 敏郎 昭和28年11月9日 株式会社札幌丸井三越
取締役(社外) 本間 哲平 昭和28年10月28日 銀行→石屋商事
取締役(社外) 本庄 明彦 昭和32年12月30日 北海道新聞社等
取締役(社外) 竹原 慎雅 昭和48年7月17日 札幌青年会議所
監査役(社外) 発知 文男 昭和31年12月9日 北洋銀行→北海道社会事業協会
監査役(社外) 日下 能婦子 昭和13年4月1日 コンサドーレ札幌サポーターズ持株会

当時の株主としては、自治体関係の方が多いです。なお、最も古く開示されている平成19年12月期有価証券報告書では、北海道新聞から3人の役員が派遣されています。

従業員の給与(P4)

平成25年12月31日時点の従業員数は30名でした。平均年齢は41.5歳で平均年間給与は3,971,053円でした。総務省の統計によると、北海道の40〜44歳の平均年収は455万円だそうです。平均よりは低めの水準です。

一方で、平均勤続年数は7.4年です。ベンチャー企業やブラック企業だと2〜3年というのが多いため、社歴を考えると悪くない数字だと思います。

給料は多くはないが、やりがいを感じられる仕事ということなのでしょう。

営業実績(P7)

この年のコンサドーレ札幌の売上高は1,069百万円でした。有価証券報告書には、うち石屋製菓からの売上は124,203千円であると注記があります。この石屋製菓からの売上はユニフォームスポンサー料ですので、1,069,362千円のうち432,133千円が広告料収入ですので、この年の広告料収入のうち28%ほどが石屋製菓からの売上となります。

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