東京ヴェルディの資金ショート報道 ゼビオが増資に応じない理由

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ヴェルディの赤字見通し

東京ヴェルディの資金ショートの報道が出ています。
日刊スポーツにより「東京V来月資金ショートも 株主ゼビオが増資に難色」という記事が報じられました。
状況について、現状について以下のように報じています。
日本サッカーをけん引してきた名門東京Vが、苦しい状況に追い込まれている。この10年間で売り上げを2・5倍とするなど健闘してきたが、関係者によると、コロナ禍の影響で、今季だけで約5億円の赤字見通しとなり、来年1月末までに運転資金が底をつく可能性が出てきた。現段階では増資が数少ない打開策の1つとみられる。ところが、株式の保有割合に合わせて交付を受けられる新株予約権などの権利を持つゼビオ側が増資には否定的で、対立しているという。
当該報道によると、赤字見通しは5億円とのこと。以前投稿させて頂いた記事において、ヴェルディの赤字を4.26億円と試算しましたが、概ね近い水準でした。
仙台の債務超過に続いて、鳥栖の大赤字といったニュースが続いていますが、年末の決算に向けて今後その他のチームからも同様の報道が出てくるのではと思っています。
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東京ヴェルディ 迷走の歴史

Jリーグの創成期の中心であった東京ヴェルディは、読売新聞の撤退から、紆余曲折の道を歩んできました。ウィキペディアから経緯をたどってみます。
1998年
シーズン終了後に読売新聞社とよみうりランドが経営から撤退し、日本テレビの100%子会社化。
2006年3月
サイバーエージェントが株式の48.1%を取得し、50.7%を保有する日本テレビ放送網に次ぐ大株主となったものの、2008年1月にサイバーエージェントが株式を売却。再び日本テレビの100%子会社となった。
2009年9月
日本テレビ放送網が保有する日本テレビフットボールクラブ株式を東京ヴェルディホールディングス株式会社(読売クラブOBの崔暢亮らが中心になり、同年7月に設立。以下東京VHD)に譲渡。
2010年3月
情報通信会社「ネクシィーズ」が東京Vの過半数の株式取得を検討しているとプレスリリースがあったものの、6月に両社から「交渉は白紙となった」ことが発表された。
2010年7月
Jリーグ関連会社の株式会社Jリーグエンタープライズが譲受け、資金ショートを回避。
2010年10月
Jリーグ臨時理事会でスポーツアカデミーを運営するバディ企画研究所を筆頭株主として、映像制作会社のオフィスて・ら、人材派遣会社の山愛など13者の出資者の決定、加えてスポーツ用品店を展開するゼビオとの間で包括スポンサー契約を締結し、クラブの存続が確定。バディ社長の鈴木威が東京VFCの会長に就任。
2017年
2年間にわたり国際スポーツ振興協会 (ISPS) など、半田晴久率いる複数の法人が大口スポンサーとなり多額の資金支援。
2018年12月
ゲーム会社のアカツキが東京Vの株式取得(既存株主からの譲受)を発表、2021年シーズンまでのコーポレートパートナー契約を締結した。これにより、東京Vはアカツキの関連会社(持分法非適用)に。
読売グループが経営から手を引いてからというもの、ヴェルディの迷走が続いています。サイバーエージェントの撤退は恐らく何かしらの内部のいざこざがあったのでしょう。買収のうわさが出たネクシーズも企業としては色々な話を耳にしますし、ISPSとは、あのみすず学苑です(ISPSと聞き、ひょっとしたらと思いましたが、やはり選手に例のやつをやらせてしまいました。なお、ISPSと離別する際には揉めたようです)、ISPSのプレスリリースを見る限りISPS側は男気を見せた引き方をしています(かなりお世話になったのではないかと思いますが、ちなみに離別自体は私は賛成です)。
このような状況の下、かつてから育成に定評のある下部組織からはポルトの中島、ポルティモネンセの安西、高木兄弟など、今もなお数々の選手を輩出しており、また、都内という経営に有利な立地にあるにもかかわらず、ここまで成績と経営が低迷するのは残念でなりません。ちなみにナベツネによる東京への移転の際に、私の知り合いの川崎市民からは「フロンターレがあるからいらない。出て行ってくれて構わない」、また同じく私の知り合いの調布市民からは「FC東京があるからいらない」と言われ、この移転により居場所がなくなり、悲劇が始まったのではないかと個人的には思っています
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ゼビオとの関係

一度、ヴェルディについて調べてみましたが、現状の株主は詳細に開示されていません。ウィキペディアによるとバディが筆頭株主であるにもかかわらず、バディの代表が社長に就任しない理由に疑問を持っていました。この理由は先程のスポーツ新聞の記事にあるように新株予約権をゼビオが持ち、実質的に支配していたためのようです。
また、記事によると議決権構造について以下のように説明されています。
新株予約権 発行した株式会社に対し、権利を行使することで、保有割合に合わせて株式の交付を受けられる権利。ゼビオは、日テレが東京Vから撤退した10年に9000万円を支払い、新株予約権51%を取得した。その後、56%になったが最近そのうち11%を行使して1000株を獲得し、45%となった。仮に今後、ある企業が東京Vを100億円で買い取ったとしても、翌日にゼビオが45%の新株予約権を行使すれば、45億円分はゼビオのものになる。
正直なところ、この文章の意味について、私は理解できません。まず、記者の方が新株予約権と株式の保有率が整理できていないのではないかと思いました。現状の発行済株式があるところに、新株予約権保有者は予約権を行使して当該権利に定められた単価のお金を振り込み、全体の発行株数と当該権利行使者の保有株が新たに増えるということになります。この流れを踏まえ上述の文章をみていくと、「ある企業が東京Vを100億円で買い取ったとしても、翌日にゼビオが45%の新株予約権を行使すれば、45億円分はゼビオのものになる」というのはおかしいです。細かく何がおかしいか書こうと思いましたが、そもそもがおかしく、説明すると長くなるのでやめておきます(ちなみに、こういうスポーツ新聞の記事を色々みたのがこのブログを書こうと思ったきっかけです)。
要は、増資を引き受け議決権として支配したとしても、ゼビオがバーンと新たに新株予約権の行使することにより、新たにたくさんの株式を取得し、結局ゼビオの支配下になってしまうのがヴェルディの状況です。結果、「ゼビオが増資を受けないのなら、他が増資すればよいのでは」と思うのは山々ですが、ゼビオと握らない限り、ヴェルディを支配できなくなるということです。

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