欧州5大リーグ:コロナ禍におけるシャツスポンサーとキットサプライヤーの契約事情

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スポンサーを業種の観点から眺める

欧州5大リーグ全体のスポンサーシップを業種で見ると、以下の通りです。
5大リーグスポンサー上位10業種
(出所:KPMG)
これを見る限り、航空会社、金融、小売など、まだまだ旧来の業種に存在感があります。特に小売のスポンサーは中下位のチームによく見られる印象があります。
そして、上表のカッコ内の業種別契約数をJリーグの胸スポンサー企業と比較してみました。
欧州5大リーグシャツスポンサー業種別契約数とJ1リーグ胸スポンサー業種別契約数
(出所:KPMG調べに当サイトが加工)
非常に興味深いものがあります。日本は製造業等旧来の産業に属するものが多いです。青いハイライトをした業種については日本ではシャツのメインスポンサーとして見かけません。
これは何を意味するかというと、欧州5大リーグのように、相対的に利益率が高く泡銭を投じることのできるスポンサーが少ないと考えられます(航空会社は旧来の産業ですが、アラブ系が多いです)。また、言い方を変えると、欧州五大リーグでスポンサーの新陳代謝が進んでいるのに対し、Jリーグは旧来のスポンサー構成から脱していないということです。ある意味、日本経済の縮図のようです。
欧州ではスポンサーの新陳代謝が進んでいます。これまでの伝統的な産業のスポンサーは及び腰です。例えば、シボレーはマンチェスターユナイテッドのスポンサーを降り、ピレリはインテルとの契約に至りませんでした。また、カタール航空はローマとの契約を更新していません。もちろん、保守的な目線で見れば、「浮き沈みの激しそうな業種ではないか」という指摘もありそうですが、そういう考えでいれば世界の潮流にいつの間にか置いていかれるのではないでしょうか。
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キットサプライヤー

欧州5大リーグトップ10キットサプライヤー契約(コロナ感染拡大以降)
(出所:KPMG)
コロナウイルスの感染拡大以降、5大リーグで締結されたキットサプライヤーの契約もまた違った傾向が見えてきそうです。平均の契約期間は3.6年から3.2年に縮小しました。5大リーグにおいて、新契約または更新契約における推定契約額は平均で10%以上増加したとKPMGは推定しています。また、キットサプライヤーの契約は、データが示すようにメインシャツスポンサーシップの契約と比べ長く、業界全体が停滞する中ではコロナにより受けたインパクトは少なめです。2020/21シーズン前にKelmeと締結したワトフォードの新契約は過去と比較し2.4倍の契約額と報じられ最も大きいものとなっています。しかしながら、全ての契約において経済条件が有利になったわけではありません。セビージャとナイキの契約は、これまでとほとんど同条件での契約延長がされたと報じられています。さらに、いくつかのクラブではキットスポンサーシップの契約額が低下することとなりました。やはり、個別の条件の影響によりまちまちと言えるようです。
率直な感想としては、キットサプライヤー契約はシャツスポンサーと比べるとびっくりするような規模ではないなという印象です。このため、契約に関しシャツスポンサーと比べ長期とすることのリスクは少ないと判断されているのかもしれません。
確か、Jomaは比較的に競争の激しくない小規模リーグや小クラブに対しサプライヤーとしてシェア拡大を図っているという記事を何年も前に何かの記事で読んだことがある気がするのでそれが実ったのかもしれません。
また、代表ユニフォームで色々なチームで採用されている印象があるナイキ、そして老舗感のある、プーマ、ルコック、カッパなどが見られませんが、それぞれのブランドの経営戦略的な背景もあるのでしょう。
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最後に

全体としてメインシャツスポンサーの契約額は一時的に足踏みする一方、キットサプライヤーの契約についてはコロナの影響は比較的少なめのようです。
データを見る限り、上位サッカークラブの商業収入は早急に回復しそうに見えるものの、航空、自動車、小売などコロナの影響の大きな業種の商業パートナーにおいては、スポンサーシップやマーケティング上の支出に慎重な姿勢を取らざるを得なくなっているところもあります。
他方でクラブとリーグは新たな収入の流れをもたらす技術革新の恩恵を受けることになることも見込まれています。例えば、セリエAでは、VAR及びゴールラインテクノロジーのスポンサーを打ち出しています。また、NFT(ファントークン)やteam viewer などのデジタル技術(ARソリューションによりスタジアムへのリモートアクセスを可能にする)もまた、収益源となる可能性を秘めています。
サッカーの技術でも語られたりしていますが、経営的な面でもJリーグは発展していますが、欧州は更に先に進んでいる印象です。

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